20周年の3月22日から、秋田駅の列車が発車する時にホームで流れる音楽「発車メロディー」が新しくなった。
これまでは、JR東日本全域で使われる標準曲のうちの1つ、東洋メディアリンクス社製「Water Crown」という曲。
新しいメロディーは、秋田県横手市出身のシンガーソングライター高橋優さんの「明日はきっといい日になる」のサビの部分。発車メロディー用編曲は秋田在住のシンガーソングライター渡部絢也さん。
秋田駅の店舗リニューアルや支社ビル改築、その他民間施設の新築計画など、JR東日本秋田支社が主導する活性化プロジェクトは「NORTHERN STATION GATE AKITA」と名付けられ、そのキャッチコピーが「秋田はきっといい日になる」となり、それとコラボレーションした形。
発車メロディーの導入は、鉄道会社ごと、あるいは東日本エリアでは支社ごとに方針が違う。秋田支社は長らく秋田駅にしか導入していなかったが、近年は地元ゆかりの曲をアレンジしたメロディーを導入する駅が増えていた。2004年の弘前駅(青森県だが秋田支社管轄)の「津軽じょんがら節」が皮切りで、大館、横手、大曲にも導入。
秋田駅の新メロディーを実際に聞くと、思ったより若干テンポが早く、ちょっと短いようにも感じた(後述)けれど、いいと思う。2月22日付秋田魁新報によれば演奏時間は「11秒間」。これまで同様、方面や新幹線/在来線等でアレンジを区別することなく、全ホームで共通のメロディー。
現時点では一定の知名度がある曲なので、よそから来た人にも曲名は分かってもらえるだろう。ただ、10年後、20年後どうなっているのか。
それに全国どこの駅のご当地メロディでも同じこと(後述)だけど、曲名が分かったとしても、どうしてこれが秋田駅で採用されたのか、理由を分かってもらいにくいことだろう。
あと、ダイハツのテレビCM曲でもあるので、ある意味ライバル企業とかぶっている点は、ちょっと引っかかる。それが曲の認知度向上につながっているわけでもあるけれど。
さて、今までのメロディー「Water Crown」。「ドソドミラソ ドシラソファミレ(以下略)」という曲は、JR東日本の特に在来線を利用したことがある人のほとんどが耳にしている。
音程またはテンポ違い版、最後のトレモロがない版、前半部分だけのエンドレス版などのバリエーションも存在し、複数あるJR東日本標準曲の中で、いちばん多く使われているらしい。
Water Crownが最初に導入されたのは、山手線の目黒駅。1990年台
当時はネット黎明期で、発車メロディーをまとめた個人のホームページや掲示板は存在したが、現在と比べると情報量が少なく、「Water Crown」という曲名も公にされていなかった(あるいは製作側で命名していなかったのかも?)。ネット上では、愛好家たちによって通称として「目黒のメロディー」と呼ばれていたかと思う。
秋田駅にWater Crownが導入されたのはいつだったのか、明確な記憶もネット上の記録もないが、
ただ、駅舎改築時には在来線ホーム部分にはあまり手が入っていないし、1997年3月以前からWater Crownが流れていた
いずれにしても、秋田駅のWater Crownは、かなり早期の導入だったはず。後に多くの駅で導入される盛岡支社など他支社の地方駅よりも先で、もしかしたら目黒の次くらいだったのではないだろうか。
【6月12日追記】YouTubeの動画によれば、1994年3月撮影だという秋田駅で、Water Crownが流れていた(2回繰り返し)。ということは、秋田も目黒も思っていたより少し早い時期から導入されていたようだ。
【12月10日追記】コメント欄の通り、盛岡駅では1993年から、目黒駅では1990年頃から使っていたらしい。
そして、いつの間にか、通称「目黒のメロディー」は「Water Crown」という曲名が認知されていく。
今回、東洋メディアリンクスのホームページを見たところ、サウンド制作例>発車メロディ(http://www.tmlg.co.jp/services/sound.php#sec02)として4曲が示され、聞くこともできる。製作元だけあって、きれいな音質。
そこにも「Water Crown」と記載されていて、正式名称であることが分かる。導入駅名は首都圏の一部駅だけで、秋田駅など地方には触れていない。
メロディー変更を伝えた2月22日付秋田魁新報でも、これまでは「標準曲「ウォータークラウン」」だったとしている。一般紙にしてはマニアック。
Wikipediaによれば、今は横浜線の駅の多くで流れるため「横浜線洗脳メロディー」と呼ぶ人もいるとか。
音程の違いは知識がなくて判別できないが、秋田駅のWater Crownは、省略部分などがない、標準もしくは標準にきわめて近いバージョンだった。
首都圏の駅では、車掌がメロディーのON/OFFスイッチを操作するので、終わりまで鳴らないことが多いが、秋田駅ではフルで流れていた。さらに導入最初期は、2回繰り返して流れていた
また、自動放送が更新された2015年春までは、ホームによって(もしくは列車ごとに?)終わりの余韻の長さが異なっていたらしい。
【5月15日追記】列車がホームに入る前の「まもなく○番線に~」の放送の前のチャイムは、変更なし。ちなみに、Water Crown導入当初は、このチャイムは別の音で、後に今の音になったはず。
※その後、秋田では違う形でWater Crownを聞く機会ができた。
ところで、先日、東京から熱海まで、東海道本線の普通列車で移動した。(「上野東京ライン」となってから初乗車。上野方面から乗ってきた客は、新橋や品川で降りる人が多かった)
このうち神奈川県内でも、オリジナル発車メロディーが増えていた。横浜支社の方針なんだろう。
川崎駅では、すぐに止められたせいかもしれないが、オリジナルなのは分かったが曲名が分からなかった。調べたら「上を向いて歩こう」。2016年末導入。
横浜、大船を過ぎて辻堂駅では、同じく2016年末から「浜辺の歌」。
次の茅ケ崎駅は、サザンオールスターズの曲であることは知っていた。「勝手にシンドバッド」辺りかと思ったら、知らない曲。「希望の轍」だそう。
平塚駅は「たなばたさま」、二宮駅は「朧月夜」、そして小田原駅は「お猿のかごや」。
以上の各駅。サザンの茅ケ崎は別として、なぜこの駅がこの曲なのか、理由が分かりにくい。僕も、小田原と平塚以外は想像できなかった。「浜辺の歌」は秋田出身の成田為三の作曲だけど、なんで辻堂? 以下、答え。
川崎「上を向いて歩こう」
歌った坂本九さんの出身地であるため。導入日は誕生日。
辻堂「浜辺の歌」
作詞者・林古渓が、辻堂東海岸を思い浮かべて作詞したことから。導入は駅開業100周年記念。
平塚「たなばたさま」
「湘南ひらつか七夕まつり」にちなむ(仙台の次くらいに著名な七夕まつり)。
二宮「朧月夜」
吾妻山公園の早咲きの菜の花にちなむ。
小田原「お猿のかごや」 ※JR東日本管轄の在来線ホームのみ。
歌詞に「小田原提灯ぶらさげて」とあることから。作詞者・山上武夫は、「もし我家に小田原提灯がなかったらこの歌は生まれていなかった」と回想するほど、欠かせないアイテムだったようだ。
「お猿のかごや」は「エッサ エッサ」の歌い出しは知っていても、中盤の「小田原提灯」まで知っている人はどれくらいいるかな。
僕は、20年前(1995~2005)のNHK教育テレビ「ハッチポッチステーション」で、グッチ裕三扮するマヒナ~ならぬ「ヒマナスターズ」が、「愛して愛して愛しちゃったのよ」を歌うと見せかけて「お猿のかごや」を歌うものがあり、それで全部の歌詞を知った。
小田原駅では車掌がOFFするのでなく、秋田駅などのように必ずフルで流れるらしい。しかもあまり端折らずに15秒程度かけて「ホーイ ホイホイ ホイサッサ」の終わりまできっちりと発車メロディー化(複数バージョンあり)されており、長く感じるとともに、聞いていてちょっと恥ずかしくなってしまった。
秋田駅の新メロディーくらいがちょうどいいかも。
ついでに、JR東海・東海道新幹線の車内放送のチャイム。
東海道山陽新幹線では、車両の所有会社によってチャイムが違う。それぞれに、始発・終着駅用の長いのと、途中駅用の短いのがある。
JR西日本所属車は、「いい日旅立ち」。正確には2003年の鬼束ちひろの「いい日旅立ち・西へ」。
一方、JR東海の車両の曲は、今となっては知らない人が多いかもしれない。
2003年のTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」という曲。当時は、新幹線の車体側面に「AMBITIOUS JAPAN!」のロゴを入れて大々的なキャンペーンが展開されたものだが、15年近く経った今、覚えている人がどれくらいいるか。
途中駅用では、サビの「Be ambitious!」部分だけ、「トン トン トン ト トーン」のわずか5音。何の曲かの手がかりさえ、つかめないかもしれない。短すぎるのも考えもの。→その後、2023年に別の曲に代わった。