・「バッテリーを搭載した電車」ということになり、男鹿線を初めて電車(=モーターで自走する鉄道車両という意味)が走る。
・運転区間は奥羽本線・秋田-追分を含む秋田-男鹿間。電化された奥羽本線内は走行しながら充電し、ためた電力で男鹿線内を走行。男鹿駅で停車中に充電して追分まで戻る方式。
・同タイプの車両は、JR東日本では、既に宇都宮の烏山線で運行しているが、電源は直流。JR九州は交流方式の車両を運行している。交流電源かつ寒冷地である秋田には、JR九州のものをカスタマイズして導入するという、異例のやり方。車両型式は「EV-E801系」。
・差し当たって2両1組(=1編成)だけの導入で、その後の増備についての発表はない。
【2017年1月6日追記】誤解されている方がいらっしゃいますが、この車両にはディーゼルエンジンは搭載されていません。したがって「ハイブリッド車両」などではありません。動力としてはモーターだけを搭載した純粋な「電車」であり、それに電力供給用のバッテリーを搭載した「蓄電池式電車」です。
計画発表時の秋田魁新報の報道では、今年の秋頃には車両が落成して試験運転をするとのことだったが、秋の間は気配はなかった。
しかし、ネット上の情報によれば、男鹿駅のホーム(駅舎側)に、停車中に充電するための柱が立てられ、最近はそれに架線(ケーブルではなく剛体架線と呼ばれる棒状のものらしい)が張られたそう。
そして、12月2日付でJR東日本秋田支社から「交流蓄電池電車「EV-E801 系」来春デビューに向け準備を進めます」がプレスリリースされ、それには「12 月中旬から秋田地区において性能評価や技術的検証を行」うとあった。
その頃、ネット上で、ついに車両が完成し、12月9日から11日にかけて、製造された山口県の日立製作所笠戸事業所から秋田へ輸送されるとの情報が流れた。車両を貨物列車扱いで移送する甲種輸送として。今回は締め切りの都合か、愛好家向けの鉄道誌には掲載されなかったようだが、ネットのおかげで知ることができた。
EV-E801系が、日本海側を通って秋田に到着するのは、11日の昼過ぎ。
この日の秋田市は、今シーズンでおそらくいちばん寒く、積雪が多い、本格的な冬の天候。時折吹雪くものの、風はさほど強くなく、羽越本線の運休はなかった模様。
そんな中、噂されていた時間通りに、
到着!(自由通路より撮影)貨物列車で見慣れたEF510形電気機関車の7号機を先頭に、赤、青とつながったカラフルな編成。
6番線に入線。
入場券でホームへ下りてみると、日曜にしては、我々愛好家はさほど多くない。たまたま遭遇して珍しそうに撮影する、新幹線を待つ客も。
向かいの新幹線ホームから到着からまもなくEF510が切り離されたので、これまで隠れていた側の赤い車両の先頭部が姿を現した。
シートで覆われる養生のため青いビニールで覆われているけれど、強風のせいか、向かって左のフロントガラス部分がはがれてしまった。
後尾だった青い側反対の青い側はシートなしで、仮設の尾灯を設置。連結器とホースは仮設されており、この後、車両基地へ運ばれる時に使うことになる(工場を出る時も使ったかも?)。
さて、車体色は別として、車体のシルエットはJR九州の車両そのもの。
消えているので分かりにくいけれど、正面上部中央に、路線バス並みに大きなLED行き先表示があるのも同じ。九州では明朝体で表示されているが、こちらではどうなるか。【角ゴシック体のようだ。末尾の追記参照】
相違点は、九州ではフロントガラスの下にある灯火が、こちらでは上に移っていること。着雪で隠れたり、吹雪で見えづらくなるのを防ぐ、雪国ならではの変更だろう。
それによってフロントガラス下に何もないせいか、正面はいくぶんのっぺりとした印象を受ける。
また、昨今のJR東日本の新車両と比べると、国鉄時代のような伝統的な雰囲気もどこかに感じる。JR九州の車両を知らない人が見たら、どう感じるだろう。
あと、連結用の貫通ドアがあり、下に渡り板はあるものの、「幌(ほろ)」がなさそう。今のところ連結相手がいないからいいけど、後付けするのかな。
EV-E801系の外観の特長は色であろう。
男鹿が本場であるナマハゲ(秋田県内ならどこにでもいるわけではありません)の顔色をモチーフにしたということなのか、赤と青と正反対の色の車両が1両ずつという斬新な塗装。(本当のナマハゲは、必ずしも赤と青でセットということではなく、集落によっては1色だったり緑色のがいたりする)
写真では正確には伝わらないものの、かなりはっきりして目立つ赤と青。E6系の赤やブルートレインの青とも違う。
E6系と並ぶ冬の雪景色にも曇天にも、夏の日差しにも、きれいに映えそう。
側面は、窓の部分は黒く塗装。
乗務員室ドアと客用ドアの間には、
ナマハゲの顔と愛称「OGA NAMAHAGE LINE」ナマハゲの顔のイラストが白1色で描かれる。
現在のキハ40系には、赤または青の顔のカラーのナマハゲと「男鹿」の文字が貼られている。そのイラストを単色にしたものだと思われる。
(再掲)キハ40のナマハゲ正面にもあったけれど、側面の内側寄りには、
「ACCUM」烏山線用のEV-E301系には、蓄電池を意味する「Accumulator」が由来の「ACCUM(アキュム)」という愛称があるそうで、それがEV-E801系にも踏襲された。なお、九州のは「DENCHA」という名前。
赤いほうには、側面用の行き先表示機も設置されている(反対面にも)。これもデカイ。
窓ガラスは真っ黒で中はうかがえない。隠しているわけではなく、こういうガラスなんでしょうか。
側面。車番表記が若干上寄り客席の窓の配置が独特。ドアの間が横方向に3分割され、狭くて縦長の中央が固定、両端は開閉可能な構造らしい。この点も九州向けとは違うようだ。
ドアの割れる部分が、注意喚起のため黄色いのが、今風。
半自動ドアの開けるボタンは701系の新しいものとだいたい同じ模様(車内側は不明)。ただ、そのボタンが、場所によってドアの右側にあるのと左側にあるが気になった。こういうことは極力統一したほうが、分かりやすいのに…
形式は、男鹿向きの赤いほうが「EV-E801-1」、秋田向きの青が「EV-E800-1」。まったく同じ車両が背中わせになっているのではなく、機器や設備(トイレなど)が異なることになる。
床下(奥羽山脈側)を見ると、
EV-E801-1赤いEV-E801は一般的な電車っぽい機器。やや複雑かな。
EV-E800-1青のEV-E800は、黄色の「危険!」マークの箱がずらり。バッテリーなのでしょう。
編成を識別する編成番号は、「G1」編成と命名。
屋根上。青い側にDE10形ディーゼル機関車が連結された屋根の上はシンプル。パンタグラフは赤いEV-E801側にシングルアームタイプが1つ。
普通の電車と違わなそう?上記のように、甲種輸送時には、仮の装備がいろいろ取り付けられるが、今回は特に珍しそうなものがあった。
赤いEV-E801の、日本海側の中ドアおそらくドアを半開きにした状態で、そのすき間をがっちりと固定している。
すき間の下には穴が開いていて、黒い煙が出ている。写真で穴の右側に黒く見えるのは、その煙が走行中の風でなびいて付着したもの。そして、排気ガス臭い!
中に発電機を設置していて、その排気用の穴のようだ。
甲種輸送には、車両メーカーの担当者が添乗する。
車両は納品前で通電していないから、車両の暖房を作動させるわけにはいかない。それで山口から真冬の秋田へ乗り込むのは過酷だから、きっと暖を取るためのものだったのでしょう。
最近のJR東日本は、日立製の車両はそう多くは導入していない。日立製のE6系の納入時は、仙台まで船で運ばれた。真冬の秋田への納入は経験がなかったかもしれない。おつかれさまでした。
秋田までの沿線各地のみなさんのツイッターなどで写真を見ていた(とても参考になりました。ありがとうございます)し、完成予想図ともほぼ同一だったので、実はあまり感動はしなかった。でも、これが男鹿線を走ると思うと、感慨深い。
今日のところは楢山の秋田車両センターへ入ったEV-E801系。本線で試験走行するのはいつになるだろう。いきなり男鹿線へ入ってバッテリーが上がりでもしたら大変だから、徐々に足慣らしするのかな。
そろそろ、来春のダイヤ改正の概要が発表される頃だが、それでEV-E801系の運行ダイヤも分かるかもしれない。
12月16日で、男鹿線は全線開通からちょうど100年。
【17日追記】奇しくも100周年を迎えたその日、EV-E801系の試運転が始まり、ダイヤ改正の概要が発表された。
試運転は、本格的な降雪・積雪の中、奥羽南線の秋田-羽後境で行われたとのこと。リゾートしらかみブナ編成の時と同じ区間・ダイヤだったようだ。
ダイヤ改正は3月4日実施だが、EV-E801系の運転開始日は別途告知するとしており、EV-E801系の運用は秋田-男鹿で1日2往復。列車番号は電車であることを示す「~M」。キハ40系が代走する場合もあるだけに、所要時間は現行と同じ。
ダイヤ改正の資料には、EV-E801系の写真が掲載されており、正面の行き先表示が点灯している。「普通 男鹿」とでっかい文字で表示されていて(英字も小さく)、それは角ゴシック体。
なお、烏山線のEV-E301系は追加導入されて、すべて蓄電池に置き換わるという。
【20日追記】12月20日付秋田魁新報 社会面に「蓄電池車お目見え/男鹿線 赤、青の外観 なまはげイメージ/来春導入に向け試運転」という、大きめの記事が掲載された。
「19日、一足早くお目見えし、奥羽線で試運転を行った。」とある。試運転は19日より前にも行われているが、名目上はメーカーから引き渡される前とか、位置づけが違うのだろう。
秋田支社による情報として「男鹿のなまはげをイメージした赤い外観の車両(定員132人、座席40人)と青い外観の車両(定員130人、座席40人)の編成」。
これで、ナマハゲが色の由来なのは公式に肯定されたことになる。2両で座席数は同じなのに定員が微妙に違うのは、おそらく片方の車両にはトイレがあり、もう片方には機器などの設置スペースが取られているためではないだろうか。
「導入後は1日2往復、ワンマンカーとして運行するという。」
実際には、当初はトラブル対応として技術系の社員が添乗することはあるだろう。
それはいいとして、ほんとうに4本すべてがワンマン運転されるのだろうか? 置き換わる4本のダイヤは、現行では2両編成でも車掌が乗務するダイヤもあるのだけど。
写真は青いほうを先頭にしたもので「奥羽線で試運転する新型蓄電池電車「EV-E801系」」とのキャプション付き。
手前の線路のレール幅が広いので、秋田新幹線が並走する秋田以南の奥羽本線内での撮影。走行中だと思われ、正面の行き先表示には何かが表示されてはいるものの、シャッタースピードの都合上、判読できない。青い車両には、前照灯も尾灯もどちらも点灯していないのが不思議。これもシャッタースピードのせい?
パンタグラフは上がっている。連結器カバーは、701系などと同じ、秋田支社標準の銀色の柔らかそうな素材でJRマークが入ったものの新品のようだ。
※さらにその後の試運転について。
【2017年2月18日追記・ダイヤ改正日の3月4日から運転が始まることが発表された。やはりワンマン運転らしい】
※車内はこちら