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東大館駅/青ガエル移設 雑感

秋田県大館市と鉄道に関係した、最近気になった話題2つ。
2点について、根本から反対するつもりはありません。でも、違う側面でとらえたり、もっと広く多くの人に知ってもらうべき点があるのではないかと思い、よそ者の勝手な考えを述べさせてもらいます。

東大館無人化を知っていますか?
2020年3月14日のJRダイヤ改正については、概要をアップ済み
大館では、運転士・車掌の基地である大館運輸区が廃止されることは、公式には発表されなかったが、前から分かっていた。このことは、乗客にはほぼ影響はないから、いい。※思い出などいつか別記事で。

ダイヤ改正の1か月ほど前、乗客にも関わるであろう変化があることが分かった。駅に掲示が出されたのを、ネット上で複数の人が紹介していた。ホームページには情報なし。
花輪線東大館駅が、無人された。
これまではJR東日本子会社の社員がいたが、改正後は終日いなくなり、きっぷを売る窓口もなくなった。券売機も先立って撤去されたそうで、現在は車内か降りた駅で精算することになる。

花輪線は列車本数は少ないが、東大館駅は、奥羽本線も通る大館駅よりも大館市街地寄りにある。
最近の1日当たり乗車人員(=降車は含まない)は200人ほど。高校や病院へ通ったり、買い物で利用する人もいたことだろう。中には、定期券や長距離旅行のきっぷを買う人もいたはず。乗降に介助が必要な人もいたかもしれない。

花輪線はすべて(大館駅構内に入る直前まで)盛岡支社の管轄なので、東大館も盛岡支社所属。そのため、秋田支社の大館駅ではなく鹿角花輪駅の管理下。※そもそも大館駅2018年末から子会社委託東能代駅管理。
歴史としては1999年暮れまでは、直営で駅長もいて、その後、子会社委託。売店(キオスク、後に子会社運営)もあったそうだ。


ところで、15年ほど前に、秋田県内陸南部の奥羽本線湯沢駅が早朝夜間だけ無人化された。そのことが明らかになった時は、湯沢市役所など地元から大きな反発が出た(結局、予定通り実施された)と記憶している。
今回はそのような反応は聞こえてこない。

それは、大館市役所や地元のみなさんの理解が得られているということなのだろうか。
JR関連会社が窓口を引き上げた後、地元市町村がきっぷ販売を引き継ぐ(近隣住民へ委託する等)ケースもある。もちろん、その費用は自治体が出すことになるのだが、東大館の規模なら、平日朝夕だけでもやったら…とも思えるのだが。

ひょっとしたら、大館の多くの人たちは、東大館無人化自体を、まだ知らないのではないかと、心配している。秋田支社ではなく盛岡支社であるため、地元と距離感があり、充分に説明がされなかったのではとも、考えてしまう。
久しぶりに花輪線に乗ろうと、東大館駅へ行ったら、きっぷが買えなくてあわてた! とならないか。



今や小さな駅の無人化は、珍しくもない。今回の改正では東大館以外にも、全国各地で無人化が行われた。
近場では、青森市奥羽本線津軽新城駅も、子会社委託から券売機なし・完全無人化。
津軽新城は秋田支社の管轄。隣の駅が新青森で、そこから盛岡支社になるので、秋田支社最北端の駅。1日平均乗車人員は350人前後。

東奥日報では、3月12日付で「青森・津軽新城駅、14日から無人に」が掲載。
紙面は見ていないので、リード文程度のサイト掲載では、昨年無人化された三厩と板柳も挙げ「高齢化に伴い公共交通機関の役割が増す中で、地域の玄関口から駅員が相次ぎ消える状況を懸念する声も上がっている。」としている。
津軽新城では、そして青森では、多少は不安の声が出ていて、そのことが報道されている。

一方、少なくとも秋田魁新報では、東大館無人化自体がまったく掲載されない。魁が無人化を知らないわけではない。
実は、3月に入って少しした頃、魁へメールで情報提供というか要望を送った。「東大館無人化されるらしいですが、地元の反応を知りたいです。昔の湯沢みたいなことになってないのでしょうか」と。
魁では、ニュースにする価値がないと判断したのだろうが、それでいいのだろうか。「花輪線が廃止」にでもならないと、魁は報道してくれない、あるいは沿線自治体は動かないのだろうか。


●青ガエルが来るけれど
もう1つはJRではなく、現役でもない鉄道の話題。2月に報道各社が「渋谷の青ガエル、大館へ」と報道。

「渋谷の青ガエル」を知らない人にはちんぷんかんぷんだけど、知っていても、ネット記事の見出しを見て驚いた。
テレビで渋谷駅前の映像が流れると、その背後によく映りこんでいる、独特の風貌の緑色の電車のこと。それが、大館駅前の観光施設「秋田犬の里」へ移設されることになったという話。

まず青ガエルのこと。
この電車は、東京急行電鉄(東急)の初代5000系電車(現在は2代目5000系があるが、別物)。
1954年に製造が始まり、当時としては画期的な技術や斬新なデザインの車両で、色と愛嬌ある風貌から「青ガエル」の通称で親しまれたという。※他社でも似たデザインの車両がある。
1980年代中頃まで東急線を走り、全国の地方鉄道へ譲渡されたものもあるが、現在は営業運転する車はなし。

長野の上田交通へ譲渡された「デハ5001号」は、1993年に廃車された後、東急へ戻されて保管、2006年から渋谷駅前ハチ公前広場「青ガエル観光案内所」として使われている。
渋谷駅周辺の再開発の一環で撤去されることになり、「青ガエルプロジェクト」として大館への無償譲渡が決まった。大館市と渋谷区は、忠犬ハチ公を仲立ちとした交流が続いている。
2020年5~6月に大館へ移設、芝生広場に置いて、7月から休憩場所として使う予定。


渋谷へは数度した行ったことがなく、なじみがないが、いつの間にか渋谷駅前のシンボルになったなという印象だったが、それも14年弱で終わる。撤去自体が唐突に思えたが、まさか大館へ来るとは!
こうした経緯を知って、正直な感想を3つ挙げさせてもらう。
・なぜ大館へ?
ハチ公と渋谷は縁があるが、青ガエルと大館には(おそらく)何の縁もない。
秋田犬の里に、縁のない古い電車をぽつんと置いたところで、どれだけ注目や人を集められるだろうか。
はっきり言えば、再開発で置き場所がなくなって、秋田犬の縁を口実にして、大館へ「押し付けた」ように感じなくもない。

むしろ、隣の青森県弘前弘南鉄道なら、5000系の後継である6000系7000系が譲渡された、ということで、いくぶんつながりはあるかな…
あるいは、縁はないが隣町の廃線・廃駅を活用した鉄道保存展示施設「小坂鉄道レールパーク」に置けば、大事に保存してくれそうだし、鉄道好きが訪れるだろうから違った目で見てくれることだろう。

【23日補足】東急には、川崎市宮前区(田園都市線宮崎台駅)に「電車とバスの博物館」があるが、5000系の実物の展示はないようだ。そっちに持っていけば良かったのでは…と思えてしまうのだが。


・無償でもらっても…
動かなくても金属の塊である鉄道車両を、特に屋外で保存し続けるのは、労力と費用がかかる。各地で保存されている蒸気機関車の中には、錆びてボロボロになったり、故意に破壊されたりしているものがあるように。
大館は雪国。積雪による車体へのダメージも少なくないはず。劣化しても黒いSLなら遠目には目立たないが、青ガエルでは色あせたり錆びが目立ったりすることもあろう。

タダでもらったはいいが、将来もずっと維持管理できるのか。できなくなったらどうするのか。大館市役所はそこをどう考えているのだろう。


・実はその姿で走っていたのではない
上記であえて書かなかったこと。見た限り、どの報道でも触れていないのだが、この青ガエル、実は5000系(の先頭車)1両をそのまま保存しているのではない。
渋谷に置かれることになった際、一部をカットして短くしているのだ。【24日補足・手法としては後部をぶった切ったのではなく、中ほどを取り除いて残りをくっつけたのだと思う。観光案内所の出入り口になっている後面は、原型のままのように見えるので。】

本来は長さ18.50メートルだったものが、11.22メートル(ちなみに重さ11トン)にされ、乗降ドアが片面3つから2つに減、台車(車輪)や床下機器も撤去されている。
だから、現役のまま保存しているというより、ある種オブジェのように雰囲気を保存していると言ったほうが適切かもしれない。
そうした保存方法も、スペースや費用の都合上、なくはないとは思うけれど、いちおうはその旨を説明板などで明示はするべきだと思う。

縁がない場所に置かれれば、知らない人も多いだろうから、あの姿のまま走っていたと誤解する人がいそう。青ガエルのことが分かるような解説を表示するべきだ。
【23日追記】東急初代5000系は、日本の鉄道史に残る名車であることは間違いないと思う。縁がない土地にただ置かれては、よく分からない廃車と認識され、雑に手荒に扱われる心配がある。大館で管理する側も、一般の人たちも、その価値を忘れないでほしい。

【11月21日追記】その後、8月6日に大館市へ移設。11月には車内も公開。その後、塗装状態が悪いため、冬の間にサビ落とし・再塗装を実施することになり、11月20日大館市内の業者へ運ばれた。2021年3月中旬頃に戻る予定。

以上、長々と失礼しました。