秋田大学医学部附属病院の入院患者の病院給食の続き。今回は献立の中身。※2024年前後の話です。
日清医療食品に委託している以上、秋大病院完全オリジナルメニューというわけではないと思う。国内どこかの病院(医療機関との契約実績全国1900件以上)で、部分的にでも同じ料理名のものが出ているではないかと、検索してみたが、見つけられなかった。日清医療食品公式サイトで紹介されている献立例を見ても、秋大病院と雰囲気としては似ているが、完全一致のものはなさそうだった。
以下、料理名や材料名は、原則として献立表(お盆に乗る個票)の表記に従う。
主食とメインのおかず(主菜)のほか、副菜は朝食に1皿、夕食は2皿、汁物(みそ汁やスープ)は朝と夕が基本だろうか。ふりかけ類やデザートが付くこともある。以前の通り、朝食には必ず萩原牛乳。
●主菜
肉より魚がやや多い感じ。前回の通り、昼食では主に肉/魚の2つから選択できる。
肉は豚肉か鶏肉で、さすがに牛肉は…と思いきや、ビーフカレーはあった(後述)。
調理法は煮たり焼いたりが多い。僕は食べる機会はなかったが、フライや天ぷらなど揚げ物も出ることがあるようだ。
卵は、卵焼き・オムレツ、かに玉などで、回数としてはあまり多くなかった。副菜として茶わん蒸しは出た。
どれも濃い味付けのことはなかったと思うが、別段、薄味というほどでもなかったと思う。たまになじみがなくて戸惑う味付けのものがあったが、総合的にはおいしい。
具体的には、北上市の学校給食やはまじに人気の「さばの味噌煮」は出た。特においしく食べたものを挙げておく。
・朝食「豆乳スープ煮」
・昼食「鶏肉のマヨネーズ焼き」
・昼食「スペイン風オムレツ」
→選択のAメニューだったか? この時の主食は「パン盛り合わせ(3種)」。朝にロールパンしか出ないのが基本なのに、昼に、しかも違うパンが出るのが珍しい。レーズンが入ったり、色の濃淡が違ったりした、丸いパン。
・昼食「ビーフカレー」
→選択B。皿にごはんとルウが半面ずつ盛られた、ちゃんとしたカレーライス。ごはんは、通常と同じ規定量。別皿に福神漬。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、肉はごろっと大きめで、病院食にしては硬めか。ルウは甘めだがわりとスパイシー。
どこかのレトルトカレーっぽい味かもしれないが、充分、ちゃんとしたカレーライス。入院中にこんなものが食べられるとは思わなかった。チキンカレーもあるようなので、ポークカレーもあるかな?
・夕食「ハンバーグデミソースがけ」。
魚の種類。鯖、サーモン、銀だら、さわら、メバルなどのほか、銀ひらす(ムニエル、塩焼き=元日の朝食)、ホキ(マヨネーズ焼、おろしソースがけ、酒蒸し)、メルルーサ(和風ムニエル、黄金焼き)など聞き慣れない種も。
ホキは、昔の秋田市の学校給食で天ぷらが出ていた。
魚以外にも食材や料理名で、聞き慣れぬものもちらほら。
「ひろうすの含め煮」「松風焼き(鶏ひき肉)」「さわらの幽庵焼き」「黄金焼き」「千草焼き」
詳細は各自お調べいただくとして、どれも上品なお料理。手の込んだ調理をしてくれていることの現れではあろう。松風焼きはおせち料理にもなるが、元日の夕食でも出たし、普通の日にも出た。
中でも、「ひろうす」は初めて聞いた。漢字では「飛龍頭」で、「ひりょうず」とも言うそうだが、要は「がんもどき」。関西方面での呼称だそう。日清医療食品のこだわりでもあるのかもしれない【6日追記・日清医療食品の本社は東京だが、親会社のワタキューセイモアの本社は京都ではある】が、じゃあ「がんもどきの含め煮」でいいじゃない。ここは秋田大学医学部附属病院なのだから。
●副菜
サラダ、和え物、酢の物など野菜が多め。これは総じて薄い味だったので、苦手な人は苦手かも。僕は野菜好きだし、野菜も高くなったご時世、毎食こんなに食べさせてもらえるのはありがたいと思った。
●汁物
コンソメスープ(具材はバリエーションあり)、卵スープ、まれに清汁(すましじる)、そしていちばん多いのがみそ汁。薄味傾向。
みそ汁の具材は、具だくさんではない。野菜類が入ることが多いが、やたらと多いのが麩(バリエーションはあって、うずまき麩、一口大の輪切りの「おつゆ麩」、花麩など)、野菜ではナスや舞茸。少々変わったところで、細く刻んだ高野豆腐、エリンギ、春菊。豆腐、油揚げはあまりなく、ナメコやワカメは出たかな?
主食兼主菜として、昼食にうどんは比較的出た。主に水曜日。
きつねうどんなど一般的なうどんと、カレーうどん、卵とじうどんなど2種から選択でき、さらにもう1つ、うどん以外を主食とする献立と、選択肢が3つになる。主食がおかゆの人は、一般的なうどん限定(ここも選択できるといいのに)。麺が伸びないようにつゆは別容器で配膳。麺類が食べられる貴重な機会でうれしかった。
●「ごはんの友」の類
僕は嫌いではないが、普段は使わない。秋田のお米はそのままでもおいしいのだから。前回の繰り返しだが、秋大病院の米飯はそれほどおいしいとは思えなかった(おかゆはおいしいのに)。
それを補うためなのか(ではなく、栄養を補うためでしょうけれど)、朝食を中心にけっこうな頻度で出て、まれに昼や夕も。おかゆでも付いた。
ふりかけだけでも、複数の味があるのだが、不可解な偏りがあった。。
同じ味が2~3日後にまた出て、その後、しばらく出ないことがあった。味が違っても栄養的には大差ないだろうし、患者を飽きさせないために味違いがあると思うのだが、大量にまとめ買いしているのだろうか。
その一方、同じ日に食事の区分(常食と何らかの制限食等)によって同シリーズの違う味が出たこともあった。繰り返すが栄養的に大差ないはずで、意味があるのか。
次の面々。頻出したものから。
・ごまなしふりかけ梅しそ
・ごまなしふりかけかつお
ニチフリ食品株式会社(静岡市清水区蒲原)の製品だが、同社ホームページには非掲載。何か物足りないように感じたのは「ごまなし」だから?
・カセイのFeのり佃煮
1袋8g、鉄分1.2mg。
昔の秋田市の学校給食でジャムが出ていた(タカベビーというのもあったけど)、カセイ食品株式会社(東京都大田区)の製品。同社ホームページでは、学校給食用として紹介されている。昔の秋田市でも、海苔の佃煮はたまに出たが、メーカーは記憶にない。
・たいみそ
初めて出た時に戸惑った。言われてみればどこかで聞いたことのある名前で、「鯛味噌」なのだろうけど、どんな味なのか見当がつかなくて。
我が家に限らず、秋田ではなじみが薄い食品ではないだろうか。調べると、広島、愛媛など西日本のものが著名なようだ。それがしょっちゅう出た。
「ゆかり」でおなじみ三島食品株式会社(広島市)の7g入り商品。ゆかりごはんも出る時は出るのかな。
同社オンラインショップでは「みそと鯛を原料にした甘口のペーストみそです。田楽などの料理にもご利用いただけます。全国の病院、養護施設などの食事に使っていただいています。」と説明。40袋で1080円。
甘じょっぱい味で、たしかにごはんには合うと思う。でも申し訳ないけれど、食べ慣れずに50年近く生きてきてしまった者としては、自分で買って食べたくはない。
以下は、1~2回しか出なかった。
・ふりかけたらこ
上記、ニチフリのシリーズ品なのだが、なぜか低頻度。
・うめびしお
これも初耳食品、「梅醤」。上記、三島食品たいみそのシリーズ品。
たいみそと同規格、同価格で販売され「梅肉の酸味を抑えて仕上げました。梅肉和え、魚の梅煮など幅広い料理にもご利用いただけます。全国の病院、養護施設などの食事に使っていただいています。」。
僕は梅は好きだから、ねり梅というか梅ペースト的なものだろうと食べたら、しょっぱくて(1袋当たり食塩相当量0.53g。たいみそは0.21g)ダメ。減塩タイプのうめびしおがある(5g×40袋1188円と若干高価)も出ていますよ。
さらにシリーズ品として、「のり佃煮」なども出ているのに、違うメーカーを採用しているのは、価格重視か。
・高鉄 減塩 いりこみそ すり潰しタイプ
三島食品。「瀬戸内のいりこ、ごまを合わせたおかずみそです。大豆、ごま、いりこ等をすり潰して食べやすくしています。」。7g入り、食塩相当量0.28g、鉄3.3mg。
・たんぱく質1.2g なめらかしそ昆布風味
三島食品。一般向け通販扱いなし。6g、食塩相当量0.34g
・納豆
太子食品工業の粒納豆。よくある白い発泡スチロール入り。かつお風味たれ、カラシ付き。
●「パンの友」
学校給食で親しみ、上記海苔の佃煮でも実績のあるカセイではなく、「SUDO」ブランドの株式会社スドージャム(長野県)の15g? 入り個包装。
あんずジャム、りんごジャム、いちごジャム、ブルーベリージャムに遭遇。ふりかけ同様、全員に同じものが出る。チョコクリームとかマーガリンは出ないようだ。
●デザート
昼と夜はけっこうな頻度で出た。バナナ半分、カットオレンジ、缶詰なのかシロップ漬けのパイナップルやおろしりんご等のこともある。
学校給食のような既製品のカップ入りゼリーも出るには出たが、メーカー不明の「オレンジゼリー」程度。
多かったのは、病院の食器に入った、調理場で作られたであろうデザート。しかもバリエーションが豊富なのだけど、ふりかけやたいみそのように、出る回数や間隔に偏りがある。
よく出たのは「豆乳プリン」「杏仁ゼリー」そして「フルーチェ(ぶどう)」。豆乳プリンや杏仁ゼリーは、食器の中で固まっていることから、院内調理と判断。
フルーチェとは、ハウス食品のあのフルーチェなのだろう。業務用もある。2000年代頃にパウチや缶に入ってすぐ食べられるフルーチェが出ていたのは食べたが、素から作ったであろうフルーチェなんて、約35年ぶりかも。なぜかぶどう味のみ。
その他、回数は少ないのが「抹茶とミルクの二色寒天」「いちごババロア」「ベジゼリー(ニンジンジュースを固めたようなもの)」「抹茶ババロア」。
いずれも、真ん中に生クリームやフルーツソースなどがちょこんと載っていて、見た目と少しだけ味のアクセントにも気を遣ってくれていた。
●番外編
「行事食」として、夕食がちょっと凝った献立になる日がある。重箱風の食器も用意されていた。
僕はクリスマス、年末、元日にかかって、それに応じたものが出た。鶏の照り焼きと小さいチョコケーキ、天ぷらと汁物としてそば、「寿」かまぼこ、煮たエビ、きんとんなど。正月でもさすがに餅は出なかった。
他の時期でも、花見、七夕、季節の味覚とかなんとか月1回程度はあるようだ。病院栄養管理部ホームページによれば、きりたんぽが出ることもある。
入院していても季節感を忘れないでほしいという配慮ではあるが、かえってわびしい気分になってしまうかもしれない。
以上、前回も触れた通り、おいしく飽きずに食べることができた。食事内容やおやつ・お菓子の制限がなく、退院できる見通しが立っている、お気楽な身分の患者だったからかもしれないが。
病院で食べられず、恋しくなった食べ物(お菓子類は別として)も、あまりなかった。
寿司、ラーメン、焼き肉なんかは、食べたくなくはないが食べなくても構わないと思えた。食べたくなったのは、ソース味とチーズ味のもの。今まで意識していなかったが、僕はこれらが大好きだったのかもしれない。退院した足で、隣のイオンスタイル広面へ行ったのだが、惣菜の串カツセットと、ベーカリーのピザを買ってしまった。後日お好み焼き、グラタンも食べた。
院内のローソンでも、そうした食べ物は売っていて(職員向けかもしれないが冷凍食品がけっこう充実。揚げ物も扱う)、病棟に患者が使える電子レンジがあるので、入院中に食べても悪くないのだろうけれど、ニオイで迷惑をかけそう。
あと、恋しくはないが、しばらく食べないとなんか物足りないものとして、ヨーグルト。腸にも影響があったかもしれない。ローソンでは小さいカップ入りしかなく割高。
それに食パン。日清医療食品ホームページの献立例では食パンもあるけれど、トーストしてないのを出されても困るか。サンドイッチなんかが出てもいいのでは。