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サザエさん「五十の顔も松の内」

2026年1月4日放送のアニメ「サザエさん」より。
ネタバレなので、録画や遅れ放送を後で見るつもりの未視聴のかたはご注意ください。

 

2話目No.9004「さよならお正月(脚本:中園勇也)」。

サザエがカツオに「あんた(正月中に)浮かれてたもんね」と言って、正月の回想へ。
一家が正月の正装をして居間のこたつで団らんしているところへ、おめかしした(いつもより顔が白い)フネがやってくる。
それを見たカツオ「「五十の顔も松の内」だね」。
フネも含めた一同が「アハハハハハ」と笑う。

その後、波平、フネ、カツオの3人で、フネと同年輩の来客の女性の相手をしている。
カツオはその客人に向かって、再び「「五十の顔も松の内」だね」
波平とフネは「ええっ!?」と驚く。客人は表情変えず。

来客が帰った後、頭にコブのあるカツオが泣いている。
サザエに「いつでもみんなが笑うってもんじゃないの」とたしなめられる。

というシーンがあった。
原作4コマ漫画からの流用。
各話で採用された原作エピソードは、出典の漫画をデータ放送画面で見ることができる。放送中しか見られず、小さくて文字や細部が分かりづらいことがあり、作られた年が分からないといった点は残念だけど。【5日補足・時代やアニメでの設定に合わせて、細部が改変されたり(例えばオイルショックのような時事的なできごとや、路面電車など)、人物が差し替えられたり(原作のほうが幼稚なワカメを、タラオにする等)するのが分かっておもしろい。】

ピンと来なかったのは「五十の顔も松の内」。そういうことわざがあるのかと思った。
雰囲気としては「(鬼も十八)番茶も出花」とか「馬子にも衣装」的な。つまり、褒め言葉ではなく、言われたフネさんや客人にしてみれば、むむっと感じそう。

話の流れとしては、人の見た目をあげつらう表現は、時と場合を選ばないといけないというニュアンスだと解した。
たとえ身内に対してであっても、現在では不適切に近いと思う。昔であっても、いくら正月でも、親に向かってそんなことを言って、言われた当人も含めた一同が笑って済ませるかどうか、少々疑問でもあるが。
カツオくんは、サザエさんに対しては「蝶のまいのようだ」と言って、「『蝶の舞』でなく『蝶の前』だよ」と言う(たしか2025年12月28日も放送)などして怒らせることがよくある。今回の発言がサザエに向けたものであれば、サザエさんなら怒って追いかけそう。

 

「五十の顔も松の内」を検索。
ことわざではなかった。サザエさんにしか出てこないフレーズ。

ただ、元ネタがあった。
「口紅や四十の顔も松の内
正岡子規の俳句(鶏頭14・5本に続く、当ブログ2度目の子規の句)。1893(明治26)年作。【7日追記・この時、子規は26歳か。う~ん。なお、34歳没。】
ニュアンスとしては、上記の推測の通りのようで、子規のユーモラスな一面を示す俳句という位置付けのようだが、メジャーな句ではなさそう。

長谷川町子が知っていたことになるが、それを新聞連載漫画に使って、当時の読者(の一定数)が理解できたということなのか。昔の人は学があって物知りというか、推し量る能力があったということなのかもしれない【5日補足・俳句を抜粋し、かつ40を50に替えたわけで、書物で調べるのは困難だろう】。今なら、ネットやAIで調べるか、SNSで「意味分からん」とつぶやかれるか。

そして作中では、カツオくんが元の俳句を知っていて、意味も理解してフネさんの年齢に合わせて改変するというのがすごい。
なお、フネさんの年齢は、原作からは48歳と考察されている(僕は48歳説しか知らなくて、自分もついにフネさんと同い年、年上は波平さんだけかと思っていた)。しかし、アニメでは「50ン歳」とされている。
普段の成績からすれば、別人のようなカツオくん。


と思っていたら、次の3話目No.8993「母さんの日記帳(脚本:雪室俊一)」。
雪室先生のお話は、以前は毎回1話目が定位置だったが、ここ数年は2話目、3話目に移動し、担当する回数が若干減った。

フネさんが日記をつけはじめ、カツオくんが自分のことをどう書かれているか気にするストーリー。
フネさんはカツオに見られることを想定して、日記をローマ字で綴る。実際に見たカツオくんは、それを英語で書いているのだと思いこみ、カオリちゃん、早川さん、隣のお軽さん、甚六さんも巻きこんで話が進む。
甚六さんには「カツオくんも英語とローマ字の違いぐらい勉強したほうがいいよ」と言われてしまう。

小学校5年生のカツオくんは、ローマ字を知らなかった。
だけど、国語でローマ字を習うのは…昔は4年生、2020年度からは3年生(外国語との関連もあるかな)。現にカオリちゃん、早川さんは、カツオにローマ字で手紙を書いた。
これでこそ、カツオくん。五十の顔も松の内はたまたま知っていたのでしょう。

なお、3年生のワカメちゃんも、ローマ字であることは見抜けなかった。
40年近く前の僕も、ローマ字は小4でたしかに習ったが、中学校で英語を習うまで、ほとんど読めなかったと思うから、カツオくんをとやかくは言えないのですが。

 

昨年、政府がローマ字表記を訓令式からヘボン式に改めることが報道された(2025年12月22日内閣告示)。おそらく雪室先生はこのニュース(検討段階の報道)を受けて、ストーリーを発想したのではないだろうか。来週の日曜で85歳になられるが、特徴的な展開のお話は衰えない。
【5日追記・判読できたフネさんの日記とカオリちゃんの手紙の文面では、2人とも「Katsuo」などヘボン式で表記。】
【5日追記・上記、僕が小学生の時はローマ字をほぼ使えなかったわけだが、4年生の時の担任の先生が訓令式ヘボン式が存在することを教えてくれたことは、はっきりと記憶している。おそらく教科書でもカッコ書きなどでヘボン式表記にも触れていたのかもしれない。訓令もヘボンも変な響きだと思うとともに、表記法が2つあるのがややこしく感じた。】

 


ところで、最後のサザエさんとのじゃんけん。
んがくっくっ(んがふっふっ)からじゃんけんに代わったのが1991年秋。
そして1995年以降、新年最初の放送回では、必ずチョキを出しており、2025年で31年連続だったという。
2026年も当然と思いきや、なんとグー!
【5日追記・データ放送でじゃんけんをして、勝敗に応じてスタンプがたまって、月ごとにプレゼント応募ができるのだが、例年通りだろうとグーを選んだ人はあいこに終わった。】