2026年2月5日付 秋田魁新報 経済面に、大きくはないが、写真入りの記事が掲載。
「生鮮市場保戸野店、閉店へ」
JR東日本東北総合サービス株式会社(LiViT)が運営する、秋田市保戸野原の町の食品スーパー「秋田生鮮市場保戸野店」が、2026年3月29日で閉店するという。
「市場環境の変化による業績の悪化が要因」「2002年には売り上げが最高額となった」「周辺地域に複数のスーパーがオープンして客足が落ち込み(後述)」「近年は売上額がピークの半分以下まで減少していた。」とのこと。
かつて国鉄官舎→JR社宅があった場所。知る限りでは、秋田貨物駅が近いせいもあるのか、JR貨物の社員が住んでいた。
社宅の廃止・解体後、2000年11月頃に秋田生鮮市場保戸野店がオープン。
当時は、JR東日本秋田支社の子会社「株式会社ジェイアールアトリス」が運営し、開店年月は不明だが土崎港東三丁目には「秋田生鮮市場土崎店」も存在した。
2012年6月頃に土崎店は閉店。経営者が代わって(詳細不明【この記事末尾の追記参照】)継承され、「生鮮いちばん!土崎店」として、現在も営業中のはず(したがって、今回の一件とは無関係)。秋田生鮮市場としては、保戸野店が唯一の店舗となった。
余談だが、Google日本語入力では「秋田生鮮市場保戸野店」と「生鮮いちばん土崎店」は、辞書登録されているようだ。
2015年7月には、JR東日本のグループ企業再編の一環で、ジェイアールアトリスは、東北地方全域をエリアとするJR東日本東北総合サービスに吸収され、秋田生鮮市場も移管。
2019年2月には、店内がリニューアルされた。
2000年代中頃辺りには、金庫破りの被害に遭い、2021年2月(リニューアル2周年祭の開催前夜)には閉店後の店内で火災が発生し、3か月間休業(途中、仮設店舗で簡易販売は実施)したこともあった。
2021年からは軽トラックを使った移動スーパー「なまはげ号」も営業していたが、それも終了。
ホームページによれば、手形山・新藤田・旭川・濁川コースと下浜・道川コースに週2回、亀田・松崎・下浜名ヶ沢コースを週1回巡回していた。秋田市南西部~由利本荘市北部まで遠征していたのが驚きだが、「松崎」って由利本荘市「松ヶ崎」?
店舗所在地は、保戸野地区北端と泉地区南端の境。
かつては、徒歩圏内に他のスーパーが複数あった。ト一屋、Aコープ、うえたストアなど。それらは、生鮮市場開店と前後してなくなった。
現在では、いちばん近いのが、2008年開店のいとく新国道店で、道のりで1キロほど。
少し離れたところでは、グランマート泉店 1997年、ジェイマルエー泉店 2003年、マックスバリュ泉店 2012年(2025年閉店)。古い関連記事。
魁の「周辺地域に複数のスーパーがオープンして客足が落ち込み」はそうなのだろうけれど、車が使える人は、より遠くの大きなスーパーへ行くようになり、一方で、生鮮市場が相対的に古くて小さいスーパーになってしまって、それらによって客足が落ちたのが実態ではないだろうか。
客としては売上額など知る由もなく、生鮮市場は、災難と周りの変化の中で、しぶとく生き残っていたと思っていたが、ついにそれもなくなるのか。
周辺は古くからの住宅地なので、高齢者世帯も多い。
昭和から絶えることがなかった一帯のスーパーマーケットが、ついになくなってしまうことになるだろう。保戸野地区で見ても、スーパーはなくなるか(通町のせきやがあるが、保戸野南端=地名としては大町なので近くはない)。
すぐ近くにコンビニとドラッグストアはあるし、保戸野八丁バス停から1時間に1本はあるバスに乗って、秋田駅前や外旭川のスーパーに出かけることは可能だから、買い物難民はほぼ発生しないとは思うけれど、気軽に歩いて出かけて、いろいろ買い物できるスーパーがなくなるのは困る。移動スーパー巡回先の人たちも、困るだろう。
【6日追記・生鮮市場では、購入商品を無料配達してくれる「楽らくお買い物サービス(対象エリア制限あり、3000円以上購入で無料配達)」を実施していて、徒歩来店客は助かったはず。】
跡はどうなるだろう。隣のハッピー・ドラッグ秋田保戸野店(2022年オープン)などの敷地とともに、土地はJR東日本の所有なのだろうから、新しい店を呼ぶのか。
リニューアルしたとはいえ建物自体が古いから建て替えることになるのか。そもそも敷地が狭い感じもするし。あるいはコンビニとか。
以下、閉店の一因かもしれないことについて、勝手な憶測。
開店当初は違った気がするが、生鮮市場秋田保戸野店の弁当や惣菜は、店内に調理場があり、会計も一括だったが、「株式会社秋田ごはん工場 保戸野店」という、別会社が手がけていた。関連記事。
ところが、秋田ごはん工場(本社は秋田市外旭川字八幡田、1970年創業)が2025年11月に、事業停止・破産。
それにより生鮮市場では、他から仕入れるようになった(東北総合サービス本社やNewDaysでつながりがありそうなメーカー)ほか、店内調理分は休止をはさんで12月頃から、生鮮市場自身で製造するようになっていた(レシピは変わった?)。
昨日の天ぷら。昨日時点では閉店告知はなさそうだったとのこと
「生鮮市場」というスーパーは、JR東日本東北総合サービスとしては、ここが唯一だったが、実は東北以外には存在する。
しかも、「生鮮市場」のロゴが同一もしくは酷似しているので、たまたま同名になったわけではないように思える。ノウハウが提供されているとか、ボランタリーチェーンとかそんなのかどうか??
長野市には、JR長野駅から遠くない場所に「生鮮市場JC長野中央店」というのがあり、以前行ってみた。ロゴだけでなく、店の構造も保戸野店に似ていた(が、直接的な関連はないようにも思えた)。
その運営会社も、JR東日本長野支社関連の「株式会社ステーションビル MIDORI」。かつてはもう1店あって、それが閉店したという点も、秋田と同じ。
その公式サイトを見ると、2月1日付で「生鮮市場JC長野中央店閉店について」がアップされていた。「諸般の事情により」2026年3月31日で閉店する。
同時期に、秋田と長野で申し合わせたように生鮮市場が閉店し、JR東日本による生鮮市場が消滅することになる。
鉄道、JR東日本を取り巻く環境も、時代の変化に巻き込まれていて、今年7月には、国鉄時代の鉄道管理局を踏襲した2本部・10支社から、36事業本部に細分化される。そんなに刻むのは、鉄道にとって果たして良いことなのか疑問に思えるのだが…
それを見越して、秋田と長野で(関連会社運営ではあるが)不採算部門を片付けたのだろうか。
なお、長野県の岡谷市と伊那市には、「FRESHLY 生鮮市場」というのが1店舗ずつある。運営会社(株式会社岡谷生鮮市場、1993年設立)はJR東日本とは関係なさそうで、おしゃれな店構えだが、「生鮮市場」は同じと思しきロゴ。
札幌周辺には、JR北海道関連の「ジェイ・アール生鮮市場」が9店舗ある。
我が家では、秋田生鮮市場保戸野店には大変お世話になっている。
近くに介護が必要な親族がいることもあり、その分の買い物や、帰りに立ち寄るなどしている。コロッケ、天ぷら、弁当なんかもおいしかった。鮮魚や焼きイモの出張販売も利用した。花善の鶏めしや盛岡の福田パンも時々販売された。何より、Suicaで支払えば、エキナカと同等のJREポイント(旧・Suicaポイント)が貯まるのがうれしかった。
イオン土崎港店が2月いっぱいで閉店するから、近くの人は困るだろうと他人ごとのように考えていた(同じ場所で建て替えが決まったものの、空白期間は生じる)ところ、身近なところにも閉店が降って湧いてしまった。
【13日追記】生鮮市場では、月2回金曜日に折り込みチラシがある(2024年頃までは毎週金曜)。13日に、閉店が明らかになって初めてのチラシが入ったが、特に言及はなし。片面は通常の内容で、もう片面は13・14日の「冬の感謝祭開催」告知。抽選会、福田パンや鶏めし玉手箱販売、あきたこまち特売会等。
【追記】2月20日に定例チラシが折りこまれたが、閉店の言及がない通常運転。次の3月6日も同様。次のチラシは3月20日。
【22日追記・生鮮いちばん!土崎店について】
22日に中に入ってみた。レイアウトは保戸野と酷似。やや汚れて薄暗い印象を受けたのは、土崎が開店からそのままで、保戸野がリニューアルしたせいだと思う。ただ、土崎のほうが全体にややコンパクトかもしれない。
惣菜は自前で製造しているようで、そのラベルには「秋田青果株式会社 生鮮いちばん…」とあり、同社が運営していることになる。
秋田市の卸売市場の野菜・果物の卸売業者である「丸果秋田県青果株式会社」というのがあるのだが、それとは別会社なのだろう。丸果秋田県青果のホームページでは、生鮮いちばんには触れていないし。