なくなったものシリーズも、いつかアップしたいところだけど、2026年3月をもってなくなる・変わるものがたくさんある。
秋田あるいは東北では、牛乳に大きな変化がある。
森永乳業株式会社の関連会社、東北森永乳業株式会社(本社・仙台市)が、牛乳類の製造から撤退するため。
2025年10月1日に、秋田県大館市の「秋田工場生産中止」が発表。さらに、公式発表はないが、11月に一部の報道が、仙台市の仙台工場における牛乳・チルド製品の製造を終了することを伝えた。公式サイトによれば、仙台工場では牛乳類のほか、チルド紙パックのリプトンミルクティーとレモンティーを製造しているようなので、それもやめることになる。
東北森永乳業の工場は、この2つしかない。仙台工場では、牛乳・チルドのほかにパウチ入りのゼリー(やさいジュレ・うるジュレ各種・アクトウォーター・水分補給ゼリー)を製造しているそうなので、4月以降はそれ専業になるのだろうか。
製品に印字される製造所固有記号は、秋田工場が「BK」、仙台工場が「BJ」。
秋田工場は、1951年に大館乳業株式会社として設立されたのが起源。1961年に森永乳業と提携、1962年に秋田協同乳業株式会社となり、1998年に秋田森永牛乳株式会社(秋田市)を吸収、2007年に宮城の宮酪乳業に吸収されて東北森永乳業。
秋田工場では、最近は紙パックのチルド飲料のみを製造していた(詳細後述)ようだが、以前は「ビヒダス」も作っていた。大きいビヒダスは、秋田市内では店によって秋田産か関東産かまちまちだったはず。Googleマップストリートビューによれば、工場入口の国道7号「岩瀬」交差点の大きな看板には、2018年9月までは「ビヒダスヨーグルト」があり、2019年8月には工場名だけになっている。
これまでは、秋田のスーパーでは、森永乳業の牛乳・乳飲料類はよく売られていた。今後はどうなるか。
秋田工場廃止を伝える10月1日の日本経済新聞のサイトでは「首都圏にある工場では牛乳類の生産を増やす。秋田工場でこれまで生産していた商品は東京多摩工場(東京都東大和市)と横浜森永乳業(神奈川県綾瀬市)で生産する。」とされている。
3月以前でも、「森永おいしい牛乳」やヨーグルトなどは、関東の工場で製造された商品が秋田へ来ているので、それが拡大されることになる。
なお、盛岡市と福島市にも森永乳業の工場があるが、それは森永乳業本体直営で、流動食・栄養食品や脱脂粉乳・バター等を製造している。盛岡工場では、かつては瓶入り牛乳を製造していたものの、秋田工場へ移管したとの情報もあった。
では、4月以降も変わらず、森永の牛乳類を飲み続けられそうにも思えるが、そうもいかない。
公式サイトの写真と店舗での独自調査によれば、秋田工場で製造していた商品は、次の9ブランド。特記なきものは1000ml入り。
「森永牛乳(1000mlと200ml)」「まきばの空(成分調整牛乳)」「森永あじわい便り(乳飲料)」「森永マミー(乳酸菌飲料)」
「にぎわい東北 牧場の大地(まきばのだいち、乳飲料)」「トップバリュベストプライス 飲みやすくまろやかなコク 低脂肪乳(乳飲料)」
「成分無調整 秋田のおいしい牛乳」「東北限定発売 森永低脂肪乳(乳飲料)」「ITOKU牛乳」


森永牛乳~マミーの4つは、森永の全国区の看板商品だろうから、引き続き販売されるに違いない。
牧場の大地(イオンとはひとことも記載がないが、「にぎわい東北」はイオン東北(?)の商品群)とトップバリュは、イオングループのプライベートブランド商品。前者はやや不安だが【4月3日追記・販売継続。東京多摩工場製で、にぎわい東北ロゴはなしか】、後者・低脂肪乳は地域によっては別メーカー製の同一趣旨の商品があるので、それに代わると考えられる。東北森永乳業版(秋田・仙台両工場で生産)の他に4メーカーが製造していて、同じパッケージだが、東北以外は「乳」がない「低脂肪」という商品名【4月9日追記・予想通り、榛名酪農業協同組合連合会製造で代替】。
そして、残り3つは、3月で製造終了となることが、売り場の掲示により予告されていた。
「成分無調整 秋田のおいしい牛乳」は、あまり見覚えがなかったが、タカヤナギグランマートで扱い。

なんとなく原田泰治っぽいタッチで描かれた、のどかなパッケージ。過去には同じ絵で「十和田高原のおいしい牛乳」の名だったこともあるそうで、なるほど、奥は十和田湖だ。
ちなみに、全国的には、同じタッチの絵のパッケージで「生駒高原のおいしい牛乳(大阪でなく宮崎)」といった商品もあったとのこと。
ところで、「秋田の」の意味が定義されていない。「秋田産の生乳使用」ということなのか、単に「秋田の工場で作った」ということなのか。
「東北限定発売 森永低脂肪乳」は、多くのスーパーで扱っていた。秋田市内のいとくでは、水曜と土曜に安かった(近年は値上がりしたけれど)。イオンにはないが、PBの低脂肪乳とほぼ同一商品(記事末尾参照)。【代替商品は末尾リンクの続き参照】
「ITOKU牛乳」は、その名の通り、いとくのプライベートブランド。中身は秋田のおいしい牛乳と同一の模様。
いとくとタカヤナギは、現在は経営統合しており、食パン(たけや製パン製)なんかはPB商品が共通化されているが、牛乳はそうではない。タカヤナギではPB牛乳がなく、代わりに秋田のおいしい牛乳を扱っているのか。
いとくでは、他商品よりもしっかりと告知していて、「3月30日入荷分」が最後なことと、「四十年近くに渡る長い期間 いとく牛乳をご愛飲いただき 心から感謝申し上げます」のPOPもあった。
40年近くということは、おそらく昭和、ITOKUでない旧ロゴ時代、まだ秋田協同乳業だった頃からあったことになる。いとくの本社も大館なので、いとくとしても思い入れがあったのかもしれない【4月1日補足・だからタカヤナギとの共通商品にしたくなかった、なんて?】。
緑色のパッケージが特徴的で、いつも大量に陳列されていた。3月29日の店頭では、全商品が4月10日賞味期限だったので、売れ行きもいいのだろう。

パッケージに描かれるのは、よく見れば鳥海山。鳥海山のある秋田県南部にいとくは未進出だが、酪農が盛んなイメージがあるエリア。
後継はどうなるのかだが、いとくもタカヤナギも、全国のスーパー共通商品・CGCの牛乳は扱っている。小岩井乳業製造。そちらに集約か【この記事末尾の続き記事参照】。
小売り以外で東北森永乳業の牛乳は、秋田県内では学校給食によく採用されていたようだ。病院給食もそうかもしれない。それらも、関東から届けることも可能かもしれないが、青森の萩原乳業、岩手の小岩井乳業を使うところもあるから、勢力が変わるかも。
秋田県は、酪農は盛んではない。
それに加え、人口が少なく、大消費地に近くないこともあるのか、秋田県にある唯一の大規模乳製品工場が、東北森永乳業秋田工場になってしまっていた。
他のメーカーもあるし、“牛乳難民”が生じるわけではないし、商売もそれで成り立つのだろう。だけど、県外、しかも首都圏から牛乳が運ばれてくるなんて、フードマイレージ的に無駄が多くて、やるせない。
こんな点でも、地域が衰退していくのだろうし、行政や経済界などがなんとかできなかったのかと考えてしまう。
最後に、今回紹介した商品の情報をまとめておく。価格は8%消費税込み、栄養成分は200ml当たり。
・成分無調整 秋田のおいしい牛乳 グランマートで特売278.64円
製造者が東北森永乳業秋田工場、販売者が森永乳業本体。
無脂乳固形分 8.3%以上、乳脂肪分 3.5%以上、殺菌 130℃ 2秒間
エネルギー 137kcal、たんぱく質 6.8g、脂質 7.8g、炭水化物 9.9g、食塩相当量 0.21g、カルシウム 227mg
・ITOKU牛乳 期間限定246.24円
製造者が東北森永乳業秋田工場、販売者が株式会社いとく。
秋田のおいしい牛乳と同一

・東北限定発売 森永低脂肪乳(乳飲料) いとくで特売149.04円
製造者は東北森永乳業(工場名なし)、販売者記載なし。
無脂乳固形分 8.0%、乳脂肪分 0.6%
エネルギー 72kcal、たんぱく質 5.3g、脂質 1.1g、炭水化物 10.2g、食塩相当量 0.19g、カルシウム 186mg
・にぎわい東北 牧場の大地(まきばのだいち、乳飲料) イオンで213.84円【4月1日訂正・181.44円】
製造者は東北森永乳業、販売者記載なし。
無脂乳固形分 7.5%、乳脂肪分 1.2%
エネルギー 85kcal、たんぱく質 5.1g、脂質 2.6g、炭水化物 10.3g、食塩相当量 0.17g、カルシウム 188mg
【4月5日追記・「選ばれて3億本」マークがあるが、「2012年4月の発売以来」の累計出荷本数とのこと。】
・トップバリュベストプライス 飲みやすくまろやかなコク 低脂肪乳(乳飲料) イオンで159.84円(ザ・ビッグだと10円程度安い)
製造者が東北森永乳業秋田工場、販売者がイオン株式会社。
仙台工場製造分と別に印刷していたことなる
無脂乳固形分 8.0%、乳脂肪分 0.6%
エネルギー 71kcal、たんぱく質 5.4g、脂質 1.0g、炭水化物 10.0g、食塩相当量 0.2g、カルシウム 180mg