2020年に亡くなった、秋田県出身の漫画家・矢口高雄氏の代表作「釣りキチ三平」。
秋田県内では、いくつかの商品や組織のイメージキャラクター的に使われることがあった。秋田市周辺の者には、秋田中央交通の貸切バスと路線バス車両の「三平バス」が印象深い。車体に三平三平(みひら さんぺい)が大きく描かれ、車内の座席背もたれにも三平がいた。しかし、2012年頃から、段階的に通常塗装への塗替え、そして廃車が進み、現在はもうないはず。
バスのほかにも、釣りキチ三平が描かれた車があった。
なんとなくは知っていたが、1台しかなく、動きが不定期なため、見る機会は限られている(後述の通り、狙って遭遇することは可能)。
※この記事の写真はすべて、2025年10月撮影。
小型トラック・いすゞエルフの箱部分に、大きく矢口氏の絵が描かれる。
表示があるように、秋田県の「地震体験車」。
荷台部分で地震の揺れを再現でき、自治体による防災教育などに用いられる車両。全国的には昭和からあって「起震車(きしんしゃ)」と呼ばれていたと記憶するが、現在、メーカーや所有者は「地震体験車」の呼称を用いるところも多そう。Wikipediaや東京消防庁は起震車としている。
この車は、秋田県庁の総務部 総合防災課消防保安室の所管で、東日本大震災を受けて、2013年9月に導入。
県内市町村のイベントのほか、教育・福祉施設の避難訓練などに出向く。
秋田県防災ポータルサイト(https://www.bousai-akita.jp/pages/index.html?article_id=53)によれば、「地震体験車を安全にご利用いただくため」として、利用申し込みや運用は、各消防本部を通して行う。ホームページにスケジュールが掲載されているが、屋外使用を制限している冬場以外は、なかなかの稼働率。
秋田市内で使用する時は、秋田市消防本部が借りることになる。
借りてきたら、秋田市消防庁舎(消防本部・秋田消防署)前の、消防車や救急車の車庫前の隅に駐車することが通例のようだ。
側面は左右で異なる絵で、どちらも地震だけに大きなナマズと三平が描かれる。描き下ろしだろうか。
運転席側
助手席側
明確な著作権表記はなく、助手席側にのみ「株式会社 矢口プロダクション」の文字。三平バスには一切表記がなかったけれど、矢口先生は好まなかったのだろうか。
地震体験時には、助手席側の絵の部分が上や下に開いて、ステージ状になるので、この面の絵は見られなくなる。おそらく運転席側は、常時そのまま。
そして、後部。
赤い消防服(防火服・防火衣かな?)を来て、ホースを持つ、黄緑色のかわいいキャラクター。
「スギッチ」だ。懐かしい。

でも、いいの?
スギッチは、2007年の秋田国体のマスコットキャラクターとして誕生し、その後、秋田県のマスコットとなった。ひこにゃんやくまモンが現れるより前だったこともあり、“正統派ゆるキャラ”といった感じで、当時は県民はもちろん、全国的にも人気があった。許可を受ければ商用利用もでき、スギッチを使った商品もいろいろあった。
しかし、2017年をもって引退。理由は「原著作者の意向」。
2016年12月9日の秋田県広聴広報課のプレスリリース「秋田県マスコット「スギッチ」の取り扱い」には、「平成29年11月30日以降は、スギッチのデザインを使用することができなくなります。」「原則として、スギッチを使用した制作物は、同日以降は掲示、備置、配布及び販売等ができません。」としている。
実際、スギッチの商品や看板などは速やかに使われなくなって、とんと見なくなった。「一掃された」と表現していい状態。現在ではすっかり過去のもので、知らない県民が増えていることだろう。
八橋運動公園内にスギッチの石像があったけれど(現状は未確認【13日追記・現存を確認】)、まだあるとすれば、それくらいだと思っていた。【12日追記・かおる堂にあきたこまち発芽玄米使用の「秋田のスギッチパイ」というお菓子があったが、今は売っていなそう。キャラクターの姿は使っていないようで名前だけだが、「認定NPO法人あきたスギッチファンド(2009年設立)」は2026年時点で存続。】
そんなスギッチが、県自身が管理する地震体験車に残っていたとは。消すのは忍びないけれど、下々に対して使用できなくなりますと言った手前、これでいいのでしょうか。