秋田市土崎にある、JR東日本秋田総合車両センター(旧・土崎工場)では、車両の整備、改造のほか、廃車の解体を行っている。
解体を待つ車両が、外から見える場所に置かれることがあり、約1年前は北上線などを走っていた気動車があった。
現在は、仙石線を走っていた205系電車3100番台が、編成単位(つながった状態)で何本もいて幅を利かせている。
昨年秋だったか初冬だったか、奥羽本線の車窓からセンター内を眺めていると、奥のほうに銀色の車両が1両だけ置かれているのに気付いた。銀色でも205系のステンレスとは違う色合い。
列車はそれなりの速度で通過する地点で、建物や205系のすき間(2か所から見える)から一瞬、見えるだけなので【21日補足・しかも、本線から200メートル以上離れた箇所で遠い】分かりづらいのだが、見たことがない車両のようだった。
海側。並行する歩行者道から奥羽本線越し
それと前後する頃(前か後かあいまい)、JR東日本系のメールマガジンの編集後記みたいなもの(「JRE MALLチケット担当者のつぶやき」だったと思う)で、ある鉄道車両が紹介されていた。
考えてみれば、土崎にいる車両が、メルマガの車両だ。
謎の車両の正体が分かったが、廃車されるまで、そんな車両があったことを知らなかった。
センター山側は住宅地で、土崎消防署将軍野出張所だった建物の裏側の道を入れば、廃車置き場を近くから見られる。【18日追記・見学の際は、地域やセンターの迷惑にならないようにしましょう。】
北斗星用のEF81 80と、仙石線の2WAYシート編成
左の車両がそれ。右は仙石線
車両は「カヤ27形」の、「カヤ27 501」。
役割は、「カシオペア」の予備電源車。【18日追記・写真に写っているのは、他の車両と連結していた、「前」側。後ろ側は敷地外から見えない状態。】
以下、Wikipedia等の受け売りで、間違っていたらすみません。
1999年から2016年まで寝台特急「カシオペア」として、以降、2025年まで団体専用列車として運行されていたのが、E26系客車。
E26系には、照明や空調に使う電力を作る発電機を載せた「電源車」が1両あった。客用のラウンジカーも兼ねた「カハフE26-1」。
その電源車が故障等で使えなくなった時の予備がカヤ27。新造でなく、“ブルートレイン”の24系客車の電源車(電源荷物車)から改造で、501番の1両しか存在しなかった。
もともとは1977年あるいは1980年に「カニ24 113」として製造され、大阪配置で九州方面の寝台特急で運行。24系客車のB寝台車は、製造時期により24形(3段式で製造後、2段に改造)と25形(当初から2段式)に区別される。カニ24の100番台は、時期的に25形。
1982年には秋田へ転属して、「あけぼの」などに使用。
さらに青森へ転属し、1990年に土崎工場で青函トンネルや酷寒地に対応した改造が行われ、「カニ24 510」に改番。11両あったカニ24形500番台の中で、510は「北斗星」用としては予備の位置付けで充当されることは少なく、帯も金色にされず、「あけぼの」「日本海」などでの運行がメインだったらしい。
そして、2000年にカヤ27 501に再改造・再改番。塗装はE26系に合わせて、ブルートレインではなくなった。E26系もステンレス車体なので、色味は一致しなかったそうだ。
カヤ27には車掌室、車内販売準備室があるだけで乗客は立ち入りできない。そのため、カシオペアに連結されて営業運行する時はラウンジカーが欠車となり、乗客としてはがっかり。
また、首都圏と黒磯の間の東北本線で実施される、乗務員訓練列車に連結されることも多かったとのこと。
E26系は2025年9月4日付で廃車され、長野と大宮へ。E27系は18日付廃車で、秋田へ。
1形式に1両しか在籍しないことは、昔は試作車や改造車でそれなりにあったようだが、現在では珍しいのではないだろうか。
それに、この手の改造をする時は、いっしょに使う車両の形式(本件ならE26系)に編入する手法もあるが、独立した形式を与えたのは興味深い。
銘板が5つもあって、改造の経歴を物語る。連結器はE26系に合わせて交換。屋根上の白いドーム型のものはアンテナのようだ。
冒頭写真の海側からズームしたらCASSIOPEIAロゴが見えた
「北斗星」の運行終了から10年超。JR各社のブルートレインの車両はすべて廃車になったらしい(JR東日本に3両あった保留車も、解体されたとか)。ブルーではなかったが、カヤ27 501が、最後の最後まで残ったブルートレインと言えそう。
【18日追記・この記事の写真は4月撮影だが、仙石線205系も含めて解体作業はほとんど進んでいないように見え、先週始め時点で状況は変わっていない。今後、留置場所が変わる可能性もある。】
ところで、秋田県小坂町の「小坂鉄道レールパーク」で保存されている24系客車の電源車は「カニ24 511」。カニ24 115からの改造で、カヤ27 501と途中まで同じ経歴だったようだ。