広く浅く[blog.goo.ne.jp/taic02より移転]

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く から 久良夛 へ

2025年5月11日付秋田魁新報1面に、小さな広告が出ていた。
「あんみつ 本日より発売」
菓子店のようだが、どこのお店だろう?(このスペースで広告する店は限られているのだけど)
家紋のようなマークと、店名らしき毛筆横書きの3文字に見覚えはない。
というか、文字が難しくて読めない。特に3文字目。
「之ら毎」? 「くら旬」?

下に小さく「KURATA SINCE 1853」とあった。
なーんだ。湯沢市に本社があり、秋田市内にも複数店舗がある「くらた(お菓子のくらた)」じゃないか!
3文字目は「多」の異体字、「夛」で「くら夛」か?

くらたに関する過去の記事。
「きいちご」など商品について2015年2月2日
仲小路「くらたビル」について2018年12月9日
保戸野店跡について2020年11月5日


ということは、くらたのロゴマーク・ロゴタイプが変更されたのか。いつの間に?
なお、端午の節句の「弥栄柏餅」の広告も、同じロゴだったようだ。

公式ホームページを見たが、見慣れたロゴばかり【末尾追記の通り、夏までにホームページは一新】。店舗で2024年のクリスマスケーキを予約した人に配ったという、「2025年 花歌暦カレンダー」も見慣れたロゴ。お菓子のくらた楽天市場店も同様。
公式インスタグラムでも、ロゴへの明確な言及はない。ただ、2024年12月23日にリニューアルオープンした「安藤醸造様北浦本館内のお菓子のくらた角館店」の写真では、店内に同じ紋と文字が掲げられている。2024年末のあいさつの投稿には、紋が出ている。

「くらた 新ロゴ」などで検索したところ、秋田県を拠点に活動する、書家・毛筆デザイナー・佐藤佳奈さんのインスタグラムなどの2024年12月の投稿がヒット。
「ーお菓子のくらた様ー新ロゴを書かせて頂きました」「ご希望だった万葉仮名(仮名の元の漢字)を使用してます」「久→く 良→ら 多→た」
とのこと。文字は横書き版と縦書き版がある。紋については言及はないが、やはり、くらたのロゴが変わったのだった。
ちなみに、くらたは創業者・経営者の姓「倉田」が由来。企業名は「株式会社くらた」。

くらたの前に付いていた「お菓子の(くらた)」や、さらに前に付くこともあるフレーズ「おいしさにまごころこめた(お菓子のくらた)」は、新ロゴではどうなるのだろう? 上記、インスタでは新ロゴでも「お菓子のくらた角館店」としているけれど。

段階的に移行していくつもりなのかもしれないが、新ロゴを使い始めてから半年以上経つのに、その旨が周知されていないのはいかがなものか。
そして、ロゴを変えたこと自体、もったいないと思ってしまう。
旧ロゴは、白と紺色で描かれる。紺色地が多いようだが、反転して白地のこともある。円の中に「く」を置いたマークに続き、不規則な柔らかい線の「くらた」の太い文字のロゴタイプ。見慣れない人は読めないかもしれないが、知れば「く」だけでくらたと認知できる(営業エリア内では、マクドナルドの「M」並みの認知度では?)。和菓子も洋菓子も(時期や店によってはベーカリーや喫茶も)扱う、地域に密着した肩肘張らないお店らしい、親しみが持てるものだった。
店舗の外壁にも紺色が使われることがあり、トータルでコーポレートデザインとかブランディングとか、そんなものが確立できていたようにも思う。


秋田市山王一丁目、秋田市役所裏手・けやき通りの「お菓子のくらた山王店」。
この店は、1983年12月開店。当初は、1階が店舗、2階は喫茶というよりレストランっぽい飲食部門で、合わせて「さぶうる・ど・くらた」という別ブランド的な位置付けの店だった。
Googleマップストリートビューでは、2015年8月までは、その窓に「2Fカフェ 営業時間11時~」「ランチもどうぞ」と表示され、キーコーヒーの看板が立っていたが、2017年7月以降はなくなっている。それ以降は、販売のみの山王店になったと思われるが、現地の表示類は2025年5月時点でも「Saveur de Kurata」が残っている。
今日時点でも「く」。Saveur de Kurataとの共存はここだけ

新しいロゴは何よりも、読めない/読みづらい。万葉仮名がご希望だったそうだが、それは客にとっては必要なのか。明快な「く」ではいけなかったのか。
黒い毛筆にしたのは、創業172年の老舗として、威厳や風格を出したかったのかもしれないが、そんなロゴタイプの菓子店は(新旧問わず)あまたある(例えば御菓子司とらや(虎屋)、舟和、菓匠 清閑院、等々)。紺色の「く」のお菓子屋さんといえば、くらたしかなかったのに、それを捨ててしまったのか。
湯沢の人たちはまた違うのかもしれないが、秋田市でくらたに親しんできた者としては、そう感じてしまう。せめてローマ字の「KURATA」をもっと大きくしてほしい。
※ロゴの文字やデザイン自体を批判しているのではなく、新しいロゴを「万葉仮名にしたこと」「従来とイメージが変わって、ある意味ありふれたロゴになったこと」「変わったことの周知がほとんどされていないこと」についての苦言であることを、念のため申し添えます。

おばこナ、ひでこナ、きいちごなど、既存のお菓子も新ロゴに変わるのだろうか。何かイメージが変わってしまいそう。ベーカリーがある店もあるだろうけど、そこも?

現在の山王店は日曜日は定休日。「イベント時期は営業いたします」そうだが、母の日は対象外のようだ。閉まっている店舗の窓には、商品名を記した紙が掲出されていた。
山王店では明日からとなるあんみつも、ちゃんと告知
新旧ロゴの紙が共存していた。あんみつの新ロゴは縦書き版で、小さくて目立たない。
別の抹茶どら焼きや村まつりブルーベリー(ブッセ)の紙は、新聞広告と同じ横書き版ロゴでいくらか大きくて目立つ。でもやっぱり、紺色の帯の旧ロゴのほうが目立つし、くらたらしく見える。

【12日追記】「く」ロゴがいつできたのかは不明。
株式会社化が1961年、支店初出店(大曲店)が1965年、秋田市進出が1970年だそうで、その頃かと推測する。
江戸時代からの老舗が、紺色の「く」ロゴになったわけで、当時は戸惑いや批判があったかもしれないが、上記の通り、すっかり定着した。今回の久良夛も、それと同じことなのかもしれないが…


【17日追記・追加情報】新ロゴに関する、くらたやくらた社長の見解が掲載されたサイトがあった。
2024年10月31日「COURSE秋田(http://akita.webcourse.jp/okashinokurata/)」
「2023年に創業から170年の節目を迎えた「お菓子のくらた」は、新たなスタートラインに立ちます。「未来を見据えた原点回帰」を目標に、リブランディングを推進。より多くの秋田の人々からご進物用として選ばれる商品づくりを目指し、ブランドロゴやお菓子の包装資材、店舗自体の内装など、全般を一新していきます。」

2025年1月15日「マイストーリー(https://r-mystory.com/kurata/#index_id4)」では、社長が、
「今現在、ロゴを始めとするブランドそのものを、一新し、リブランディングしようとしています。」
「看板も何から全部ガラッと変えますが、社名を変更するまではいかないです。今は「 くらた 」というひらがなで読みやすい文字なんですが、それを新しくするというよりは、創業当時の江戸時代に使ってたひらがなに戻すというようなイメージが近いかなと思います。」

だそう。
今は読みやすいけど、新ロゴは「読みにくく」するのが狙いなの?
そして、高級化を狙っているように受け取れる。
「ご進物用」なら、今だって充分そうだろう。
くらたのお菓子は、ご進物用だけでなく、日常のひとコマもしくは日常のちょっとしたぜいたくとして、家族で食べられるものだと思っている。「秋田の人々」の中には、子どもの頃から慣れ親しんだくらたのお菓子を、大きくなってからご進物用として買う人もいるだろう。読みにくいロゴで高級化したら、日常使いとしては買いづらくなってしまい、「秋田の人々」にとって縁遠いお菓子になってしまう人もいると思うのだが。あるいは「ご進物用以外では選ばれない商品」、つまり日頃、自分では食べないお菓子になってしまうのでは。

また、両サイトには、撮影年未記載の、店舗外観のモノクロ写真が添えられている。
「く」ロゴはなく、壁面に縦書きの看板があり、縦書き毛筆で「くら夛」とある。新ロゴによく似ている。もしかしたら、単に「万葉仮名で」ではなく、これをベースにしたロゴタイプにするように依頼したのかもしれない。

そして、そんなに一新したいのなら、もっと積極的に推し進めないと、いつまで経っても浸透しないのでは。
もしくは、松下電器(ナショナル)がパナソニックになった時のように、ものすごく長期間をかけて周知させるつもりなのでしょうか。※パナソニックブランドは、1966年が初出(当初は海外向け。国内で広く認知されるようになったのは1980年代後半から)。以降、ナショナルブランドと併用し、社名・ブランドをパナソニックに統一したのは2008年。42年かけて(かかって?)いる。


【6月6日追記・くらたのバッグについて】
くらたの手提げかばん(エコバッグというより保冷バックのようにも見える)が存在することが、ネットの写真(https://akita-zukushi.jp/html/page11.html)で確認できた。売っているのか、販促品等で配ったのか。
全体が紺色で、左下に○に「く」のロゴマーク、右上は、小さい「く」と井桁模様が並び、絣の着物風。紺色はくらたのイメージカラーであり、それは看板商品「おばこナ、ひでこナ」の包装とも共通するということを思い知らされた。くらた側はそれを自覚して、この袋を作ったのだろう。
その袋を、秋田市内で持ち歩いている人をお見かけした。知っている人には、くらたのロゴであることは一目瞭然ではあるが、持っていても恥ずかしくなく、いいデザインだと思った。
いずれおばこナ、ひでこナも久良夛ロゴでは、どんな包装になるのか。久良夛のバッグができたとしても、持ちたいと思えるかどうか。

 

【9月15日追記・ホームページリニューアル】

久しぶりにくらたのホームページを見たところ、いつの間にかリニューアルされていた。ページ内はすべて新ロゴで、「く」は一部商品の包装の写真くらいしかない。

ロゴ変更を知らない人がアクセスしたら、違う企業のサイトだと思うだろう。

 

くらたのレトロな紙袋について

【12月24日追記】2025年12月時点では、まだまだ「く」ロゴが多く、新ロゴは浸透していないと考えられる。

2025年12月15日放送のテレビ東京系の番組「乃木坂工事中」で、秋田出身のメンバーが、くらたの醤油マカロンを紹介したのだが、その商品画像のシールは「く」ロゴだった。

一方、秋田の「自家焙煎専門店アメヤ珈琲」が、くらたのおばこナ、ひでこナと合うように焙煎した「専用コーヒー」を作ったとのこと(おばこナ、ひでこナは、味の素AGFの「珈琲♡和菓子アワード2016」に選ばれたこともあった)。おばこナ用、ひでこナ用それぞれあり、販売はくらた店舗。
そのコーヒーの袋には、くらたの家紋ロゴが大きく描かれ、「アメヤ珈琲×久良夛」の表記で、「く」はない。おばこナ/ひでこナの表示もあるものの、現時点ではくらたとの関連性を見いだせる客は、多くはないだろう。

 

【2026年5月5日追記・その後の新聞広告について】
新聞広告はやめたようで、2026年の柏餅などは見なかった。