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ナニワズ

秋田市中心部にある千秋公園の“山”。
整備された城跡の都市公園としての一面もあるが、街中とは思えないうっそうとした林のようなエリアもあり、珍しい動植物に遭遇する機会があることを折に触れ紹介してきた。
本丸と二の丸の中間層(?)の南側斜面
今の千秋公園内は、雪が消え、大部分を占める落葉樹は芽吹き前。スミレなども咲いていない。(彼岸にお寺の庭で咲いていたけれど、あれは早咲き園芸品種だろうか?)
周りの景色は夏場よりよく見通せていいけれど、園内はこんなに殺風景だったっけ? と思えるほど茶色一色。
落葉樹の根元の周囲に葉を茂らせる低木があるのが、数少ない緑。その中に、小さい黄色い花を咲かせる低木を見つけた。
ケヤキの根元に
公園全体にまんべんなくではないが、斜面にその木が散在する一角があった。
手前はバッケ(フキノトウ) 左の赤い実はアオキ


木の大きさ、葉の雰囲気、花の形からすれば、ジンチョウゲに似ていると感じた。そう言えば、こういう植物の存在をどこかで聞いた覚えがあった。
調べてみると、ジンチョウゲジンチョウゲ属の「ナニワズ」という種のようだ。名前は初耳かも。

「オニシバリ」というよく似た近縁の別種もあるが、オニシバリは主に福島県以西に分布し、花色が淡く、葉の形も少し違うことから、千秋公園のはナニワズだと推定。
「ナニワズ」という変わった和名の由来は諸説あるので割愛。「オニシバリ」は樹皮が丈夫なので鬼を縛ることができる(できそう)から。
ナニワズもオニシバリも、夏の間は葉を落とすことから「ナツボウズ(夏坊主)」の別名があるそうだ。ナニワズは「蝦夷夏坊主」と呼ぶ場合もあるそうだ。両者が共存する地域はないようなので、方言的な呼び名で取り違えたり、混同される場合も多分にあるだろう。


何株かのナニワズの花を撮影し、後からパソコンで見ると、花の形が違う株があるのに気付いた。
 
ジンチョウゲなども同じなのだが、ナニワズは雌雄異株だそう。イチョウなどのようにオスの木とメスの木があるのだ。【27日追記】上でちらりと赤い果実が写っている常緑低木・アオキも雌雄異株。
花の中央にオレンジ色のものが見えるのが花粉を出すおしべで、それが雄花だろうから、それが咲くのが雄株、それがないのが雌株ということか?
上の2枚では、花弁(のように見える萼?)の形も違うようにも見える(雄花のほうが細い?)けれど、そういうものなのか、何かの勘違いなのか…

ジンチョウゲの仲間ならば、ナニワズも芳香がするかも。嗅いでみたいのだけど、千秋公園のナニワズは微妙に手の届かない位置に咲いていて、かなわなかった。(ジンチョウゲほど強くはないものの、芳香があるらしい)
【2016年3月21日追記】秋田市内のお寺に、鉢植えのナニワズがあり、花の香りを確かめることができた。ジンチョウゲよりはずっと弱く、クチナシの香りに少し似ている気がした。
ジンチョウゲ、ナニワズ、オニシバリなどは有毒とされています。敏感な方はむやみに触れないほうがいいかもしれません。
千秋公園のナニワズは、園路外の急斜面や、むやみに足を踏み入れると植生に影響を及ぼす恐れのある場所に生えているものがあります。観察時は注意と配慮をお願いします。

ナニワズの生えている場所は、早春の今は日光が当たるものの、夏場は日陰になるであろう場所。
笹やぶの中に咲くナニワズもあった
夏は葉を落とすそうだが、なるほど、こんな場所で夏に葉を付けていても無意味かもしれない。こういう環境に適応するために身に付けた能力(?)なんだろう。
落葉樹と言えば冬に葉を落とすという先入観を打ち砕かれた。
※落葉の季節が違っても、分類としては「落葉樹」に含めて良いようだ。ジンチョウゲは通年葉を付ける常緑樹。


現在のジンチョウゲ
秋田市内のジンチョウゲは、やっとつぼみが開き始めた段階。ナニワズのほうが先に開花するらしい。
なお、ジンチョウゲはもともと日本に自生しない。植えられているジンチョウゲはほとんどが雄株とのこと。
これも雄花のようだ
葉っぱはジンチョウゲのほうが硬そう。


千秋公園に(というか世の中に)こんな植物があったとは知らなかった。千秋公園も植物も、奥が深い。ただし、秋田市の過去の広報紙や公園課のホームページで紹介されてはいたので、僕が見ていなかった(目にしたけど忘れた)だけです。
早春に咲く花と言えば、フクジュソウ、クロッカス、マンサク、ロウバイサンシュユなど。黄色っぽい花色のものが多く、ナニワズも少し濃いけれど黄色。
千秋公園内では、アセビ(これは白い花)も咲いているそうだが、それとともに先陣を切って咲き出す花がナニワズなのだった。