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E653系いなほの旅

秋田から信州への旅。(前回の記事
鉄道でのルートは、日本海側周りで新潟県西部の直江津から内陸に入るか、大宮へ出て新幹線を乗り継ぐかの2つが考えられる。
北陸新幹線金沢開業時にシミュレーションしたように、所要時間が2時間ほど早く、列車本数も多い大宮乗り換えのほうが、現状では主流だろう。

しかし、距離は日本海側周りのほうが大幅に短く、運賃・料金は少なくとも片道7000円ほど安い。
わざわざ太平洋側へ出るのもシャクだし、いろいろな列車に乗れるので、今回はこちらを利用。秋田(羽越本線白新線)新潟(上越新幹線)長岡(信越本線直江津えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン上越妙高北陸新幹線)長野というルート。(帰りはまた別なので後日)
こんなルートの乗車券は、利用者は多くなさそうだし、途中で第3セクター路線(えちごトキめき鉄道)を挟むことになる。窓口に依頼したならば、さんざん悩んで手間取ったあげく、間違われたりする危険があるところだけど、経由地を適切に入力・選択(※)すれば「えきねっと」で予約可能。えきねっとの乗車券発券システムは、なかなか優秀。
※経由地指定時は、直江津上越妙高はJRと3セクが別の駅として登録されていて、プルダウンメニューで選択する。ここを間違えると新幹線か3セクかを誤ることになるので、注意。

このルートでの秋田-長野は、新潟と上越妙高の最低2回の乗り換えで到達可能。
ただし、新潟駅での接続が悪い(意地悪と言っていい)ものもあり、秋田発いなほ到着の9分前に上越妙高行き特急が出てしまったりする。その場合は、上越新幹線で長岡まで先回りすれば、追いつける。(乗り継ぎ割引が適用されるので、料金はさほど違わない)
今回は、秋田を最終の「いなほ14号」で発ち長岡で1泊し、翌朝に長野を目指すことにした。


以前から触れているように、特急「いなほ」の車両は、2013年から2014年にかけて新しくなった
国鉄時代からの「485系」電車から、20年ほど前に製造されて常磐線フレッシュひたち」で使われていた「E653系」電車に替わった。

2013年10月に、引退間近の485系に乗って以来のいなほ。
せめて短区間だけでも新しい車両に乗りたいと思い、何度か予定を立てたこともあったのだけど、悪天候、急な予定変更等々さまざまな事情によりかなわずにいて、念願の初乗車。
ただし、E653系にはフレッシュひたち時代に1度乗ったことがあるのですが…
E653系いなほ(帰りに新潟駅にて)
いなほ投入に当たり、寒冷地向け改造、従来なかったグリーン車が豪華な仕様で新設され、さらに車体塗装は大きく変わった。

新塗装はJR東日本ホームページによれば「日本海に沈む夕日に輝く波とあかね空をゆるやかな曲線で表現している。」そうで、クリーム色~オレンジ色基調。パッケージの色使いが似ていることから「フルーツ牛乳」と呼ぶ鉄道愛好家もいる。
当初は、デザインが奇抜というか風景に似合わないのではと思ったけれど、柔らかい色づかいのせいか慣れると悪くない。

今春からは、車両両端正面の、従来は空白だった部分(ひたち時代は文字で表示)に、絵入りヘッドマーク的なものが入るようになった。
「INAHO(夕日と稲穂のイラスト)いなほ」のデザイン。悪くはないけれど、縦方向が狭いところにつめこみ過ぎに感じる。イラストは、稲穂よりも夕日のほうが目立ってしまうのも気になる。
「いなほ」の文字は、個人的には嫌いなPOP書体(おそらく「HG創英角ポップ体」。一度、裁判の判決表示に使われていたのを見たことがあり、我が目を疑った)だけど、「いなほ」の3文字に限っては、意外に合っている気がしなくもない。485系ヘッドマークの文字(国鉄のデザイナー作だろう)を丸くしたような、どこか似た雰囲気さえする。
行きに乗った車両の前側マーク
元から見やすくはないマークだが、車両によっては、とても見づらいものも。よく見ると、
結露している
元々10センチくらい奥まった所にマークが入っていて、さらに前のガラスが水滴で曇っていたのだった。

行きに乗ったのは、「U-102」編成。7本中この1編成だけは、沿線の8つのキャラクターたちが車体にラッピンされ、にぎやか。
3号車「庄内地方 山伏の庄ちゃん」
キャラクターは新潟県が5つ、山形県が2つ、秋田県はスギッチだけ。JR東日本新潟支社管轄のせいか、新潟に偏っているような…
スギッチは、秋田側の先頭車・グリーン車の1号車。反対の先頭7号車は、
新潟県の「トッキッキ」と「レルヒさん」

普通車の車内
車内は、新車のにおいとは少し違う、独特のにおいがした。加賀谷書店の今はなき本店(秋田駅前)のリニューアル後に、長期間漂っていた、建材か接着剤のにおいを弱くしたような?

座席の布地は、いなほ転用に当たって更新されていた。
濃淡・大小さまざまなひし形が散らばる、青系統の生地。フレッシュひたち時代も青色(背もたれ中央は黒)だったので、あまりイメージは変わっていないのかもしれない。
JR東日本ホームページには「新潟を代表する「小千谷ちぢみ」をモチーフとした腰掛にデザインを一新」とある。
枕カバーは黄色。フレッシュひたち時代もそうだったし、かつてのE3系こまち(特に座席が青系だった元自由席)を連想する。
座席の枠は以前のままらしく、傷が目立つものもあった。

前テーブル、網袋付き、座面スライド機能あり。PETボトルホルダーなし。「つがる」で使われているE751系電車とほぼ同じ装備。
背もたれの肩の部分に、立っている人がつかまる“把手(とって)”がないのも同じ。いなほ用E653系の場合、この部分(背もたれの外側角)が布地のものと、皮風の黒い素材になっているものと2タイプがあった(帰ってから写真を見て気づいた)。皮風なのは申し訳程度の把手代用だろうか。
分かりにくいけど、背もたれの角が黒い
あと、各背もたれのテーブルの上に黄色い「チケットホルダー」がある。ここにきっぷを挿しておけば、車掌が検札に来ても寝たまま対応してもらえるもの。名鉄JR北海道の車両ではよく見られるものだが、JR東日本では珍しい。通勤客の利用が多いフレッシュひたちならではの装備だったのだろう。【24日訂正】フレッシュひたち時代はチケットホルダーがなかったようで、いなほ転用時に取り付けられたことになる。
いなほでは、必要ないのでは?(検札しなくても車掌の端末でチェック可能なのかな? 行きは検札があったけど)「お降りの際は、荷棚、帽子掛け、チケットホルダーなどのお忘れ物にご注意ください」と、車掌さんの呼びかけが1つ増えていた。

ネット上で、この車両のテーブルが軽すぎて、ちょっと体を動かしただけでテーブルが持ち上がってしまい、載せていたものが落下してしまったという声を見ていた。たしかにそうかも。弁当などを置く時は要注意。
一方、テーブルを収納する時のストッパーは、きつく、はめるのに力が要ると感じた。

通路の扉は、全面ガラスのほぼ全面素通し。「E653系」を意味する「series E653」の文字が入っている。デッキのある側とない側(すぐ連結部)とで開き方と文字の配置が異なる。(上の写真は連結側)
デッキ側のドア。この車両は背もたれ角が黒くない
このガラスドアにより、客席とデッキが互いに丸見え。
フレッシュひたちでは、通勤利用で出入りが激しかったり、立ち客がいたりするので、スムーズな車内移動を促すためだろうか。でも、これではトイレに入るのも客席から見えてしまい、女性など恥ずかしいと感じる人がいる。なお、グリーン車のドアはガラスがなく中が見えないもの(だったはず)。
座席からの視点
E653系の車内を眺めていると、かつての「こまち」E3系を思い出された。
(再掲)E3系車内
白っぽい内装、天井付近のアーチ状のアクセント、荷棚の一部が水玉模様の透明であることなど。製造時期がほぼ同時期だけに、共通点が多い。(E751系では、また少し違う)


個人的には、「つがる」のE751系は、座席の座り心地も、車両としての乗り心地もともに良く、気に入っている。
それとほぼ同じ思想で設計され、ほぼ同じ条件の線路を走るE653系「いなほ」はどうかと期待していた。(E653系のほうが2年ほど先)
結論としては、悪くはなく、485系時代よりは良くなったけれど、E751系とは少し違う感じ。
座席のホールド感がやや弱く、車両としてはゆらゆら(通路を歩きにくい)・ガタガタという揺れがやや大きい気がした。

485系では車内の照明が消えていた、村上駅付近での電源切り替え。
E653系では、蓄電池があるので照明は消えない。だから行きでは気づかないで終わってしまった。
帰りは、空調が止まったことで気がついた。通路ドア上の文字情報装置、流れていた自動放送は途切れることなく継続。※ところが2018年頃になると、485系同様、デッドセクション通過中に照明が消える場合もあるようになった。

自動放送といえば、元フジテレビの堺さんによる駅名のアクセント。
「つがる」では、「二ツ井」「大館」といった地名の読み方がとても自然で、地元の者としては感心していた。
いなほでは、「象潟(きさかた)」は、違和感がある平板なアクセントだった。もしかしたら「酒田」と聞き間違えられないために、あえてそう読んでいるのかなと思ったりもした。


車内販売。
だいぶ前から最近まで、秋田まで来るいなほでは全区間で車内販売があったものの、酒田止まりの列車では一切なかった。
ところが、E653系になった2014年春から、酒田止まりでも車内販売が行われるようになり、今は定期いなほ全列車で車内販売があるとのこと。
全国的に車内販売が縮小傾向の中、喜ばしいことだけど、採算が取れるのか心配でもある。

網袋に観光案内を兼ねた車内販売メニューが入っていた。
A4判
メニューのいくつかには「*」印が付いていて、それは「いなほ7・8号では取り扱っておりません。」とある。

どうも、いなほ7・8号はNREの秋田営業所【6月4日訂正・以下「営業所」は正しくは「列車営業支店」】担当、それ以外が新潟営業所の担当で、それによって品揃えが異なるようだ。
「雪室コーヒー」「雪国ドーナツ」「エチゴビール」「柿の種」など、新潟らしい商品がいろいろあるけれど、ほとんどが「*」。秋田担当列車では、ご当地商品は笹だんごくらいしかなさそう。ビールや柿の種は日持ちするし、秋田営業所でも扱えばいいのに…


夕方の上りいなほに乗るのは初めて。
天気が良ければ夕日を眺められるけれど、あいにくの雨。ついでに窓がとても汚かった!
秋田・山形県境辺り
帰りも夕方の7号(この列車は何度か乗っている)。まあまあいい天気だったけど、夕日は雲の中。
 行き帰りで同じ場所(秋田県由利本荘市岩城の二古信号場付近)

鳥海山と田植えが進む田んぼの水鏡(県境近くの山形県遊佐付近)

自由席は不明だけど指定席の利用状況。
14号は、酒田以北でも、2時間ぶりかつ最終の東京接続列車なのに、思っていたよりだいぶ少なかった。
7号は、鶴岡・酒田までは、いつものようなそれなりの客。僕の乗っていた車両は、酒田までで全員降りてしまい、秋田まで貸し切りだった。(いなほは国鉄時代からこんな傾向がある)【26日追記】堂々の7両編成のわりには、寂しい。
ちなみに、7号のグリーン車は、秋田駅で少なくとも1グループ3人が降りていた。新潟-秋田の普通車指定席とグリーン車の差額は2830円(通常期・乗継割引適用)。ものすごくゆったりした車内と座席なので、他の列車のグリーン車よりはアドバンテージがあるのだけど、貧乏性にはとても乗れない…普通車で充分です。

車両が替わっても、いなほの魅力は、
車窓に広がる日本海
【24日追記】グリーン車・普通車とも、海側の窓際はA席。(485系時代は、車両によって向きが逆転しており、揃っていなかった)

続きます

※その後、2018年の乗車記。ほぼ変化なし。