秋田市大町、川反の1本西の大町通り(赤れんが館通り)に「協働大町ビル」がある。かつての「協働社大町ビル」。
1972年にできたビルだそうで【2022年4月25日補足・定礎板に「昭和47年」とあるのを確認】、飲食、雀荘、宿泊、宴会などができるフロア・店が入る。かつてはみちのく銀行秋田支店が1階に入っていたが、2015年始に閉店。空いた部分は耐震補強工事がされた後は、特に何も入ってはいなさそう。一時期、総理就任おめでとうございますとか、飲食クーポン使えますといった告知が張られていた。ひさし上の「みちのく銀行」がはがされた緑色横長の看板が残っている。
車がいる付近がみちのく銀行跡、その上に見づらいが緑の看板がある
みちのく銀行跡と逆の北寄りには、地下駐車場の出入口がある。
入ると下り坂になっていて、駐車スペースが広がるようだ。下り口右側に詰め所があって、以前は係の人がいたが、今はいなそう。坂の下に遮断器が見えるので、今は自動精算に変わったのかもしれない。
全国的には最近、古い屋内駐車場内での作業中に、消火装置が誤作動して二酸化炭素を噴出し、犠牲者が出る事故が続いている。ガス放出の消火設備がある建物は、秋田県内に74、うち秋田市内に34あるそうだが、おそらくここもその1つ。それらしき表示がある。
ここから本題。道路から見て奥まった位置にあるものが、以前から気になっている。
坂を下って駐車場に入る地点の上の表示。
「一時停止/駐車券を受け取つてからお入り下さい」
小さい「っ」が大きいのが、時代を感じさせる。その横の三角形の指す場所は、詰め所方向。
それよりも気になるのが、大きい文字「直進」「右折禁止」。
これが、番付表などで見られる相撲文字に見えてしょうがない。ただの楷書にしては、直線的。
ビル開業時からあるのかと思うが、当時の看板屋さんの筆だろうか。地下だし、向かいのビルのおかげで直射日光が入らないため、状態は良い。ぜひこのままで。
ちなみに、大相撲の番付や場内の電光掲示板の文字は、行司が書いている。
NHKの中継の字幕や取り組み結果一覧の四股名は、デジタルフォント。相撲文字のフォントは多くないが、おそらくダイナコムウェア「DF相撲体」ではないだろうか。
秋田放送局でも使っていて、相撲関係のニュースでは全部の字幕が相撲文字になる。
【29日DF相撲体と推測した理由を補足・中継で使う他のフォントはDFフォントが多そうなこと、秋田局で表示された「下」の3画目が左へ戻っている字形であることから。】
【29日補足・相撲中継の取り組み表の一覧画面での四股名は、十両以上が相撲文字、幕下以下は明朝体(今風のゴシック体的要素を含むフォント。名称不明)で表示される。秋田放送局では、序ノ口から全員相撲文字(というか画面が全部相撲文字)で扱いが違う。】※NHK相撲中継の文字についての記事。
相撲文字に似たものに、芝居文字(勘亭流)、寄席文字(橘流)、ひげ文字などがあって、まとめて「江戸文字」と呼ぶそうだ。
中学生だった平成初期に、学級目標の横断幕などに勘亭流を使うのが、ちょっと流行った。全国的なのか、母校だけだったのか知らないけど。
「江戸文字勘亭流」という字典(書体見本)を元に作っていた。当時は写研から写植書体が出ていたそうで、江戸文字がある程度一般化はしていたようだ。(むしろ楷書体のような、普通の毛筆書体は、今ほど普及していなかった。ワープロ専用機にぼちぼち搭載され始めた頃だったと思う。)
当時の僕としては、江戸の伝統芸能で見るような手書き文字が、素人がこういう形で使えることに少し興味を持つとともに、その文字を学級目標の表示に選ぶセンス(クラスメイト【29日訂正・ほかのクラスだった】生徒なのか学級担任なのか)が理解できなかった。
今、HG創英角ポップ体が、太くて目立つ文字だからという理由で、適切ではなさそうな場面で多用されるのと同じことがあったのかもしれない。協働大町ビルの駐車場も、そうなのかも。
【29日追記】コメントをいただいて思い出した。大相撲中継で映る、国技館内の力士が入退場する花道~バックヤード(?)の壁などに「テッポウ禁止」といった大きな注意書きが掲示されていて、それが相撲文字。もし、大町ビルの表示が国技館の駐車場にあったら、何の違和感もないことでしょう。
※続き・協働大町ビルのほかの手書き看板。