
楢山南中町と楢山本町の境の、南行き一方通行の市道。旧羽州街道で、牛島(旧道、商店街)経由の路線バスの下りが通る。道路が枡形(カギ形)になった、小さな交差点を過ぎた地点から、南方向の風景。

道路の正面、突き当たりのような位置に、そびえ立つものが!

正確には“突き当たり”ではなく、一方通行の終わりの十字路交差点。牛島行きバスは左折する。直進方向は、狭い道になるが、若干、角度が付いているため、突き当たりのように見えている。
そびえ立つ物体は、交差点へ近づくと建物に隠れる。
今はごくたまにしか通らないが、30年ほど前はよく通っていた道。その当時からあった気がする(確実にあったはず)が、気に留めないでいた。
カメラでズームすると、正体はすぐ分かるのだが、肉眼で見ると、アンテナ塔や煙突のように見える。明るい色も付いており、何だろうと思った。立つ場所は、秋田市街地と反対方向に当たるが、太平川などがあって方向感覚がよく分からず、正体を探るヒントにならない。“幻の塔”のようにも思えた。
場所を変えて、国道13号の牛島跨線橋から南方向。
左は牛島市営住宅、下は羽越本線 羽後牛島駅、奥は大森山ここからも見える。

正体は、送電線の鉄塔=「送電鉄塔」。跨線橋からは何本も見える中に1本だけある、背が高くて紅白鉄塔に塗装された鉄塔。紅白塗装なので、航空法の定めにより高さ60メートル以上あることになる。
牛島跨線橋からは鉄塔の真横が見える。冒頭の楢山からも、真横に近いアングルとなる。それらは正面から見るのと違い、横に突き出した部材(「腕金」だそう)が目立たないので、アンテナや煙突っぽく見える。
さらに、秋田県道56号の秋田大橋から東方向。
雄物川上流方向。中央の赤茶色の建物は、仁井田の県立秋田南高等学校
ここからは腕金がよく見えて、送電鉄塔らしい姿さて、この紅白鉄塔はどこに立つか。だいたい見当をつけて、航空写真とGoogleマップストリートビューで確定。難しくはないが、送電線が複数本配線され、住宅地の細かい道路が多い一帯なので、若干手間取った。
茨島や卸町との境のそば、牛島の西端に三皇熊野神社本宮があって、その隣が東北電力ネットワーク株式会社 牛島変電所。そこから各方面へ送電線がつながっている。
さらにそばを、JR羽越本線が通っていて、市道の大野踏切がある。
2015年8月ストリートビューより。秋田駅方向↑2系統の送電線の「路線」が線路を越えている。左が変電所。右端に紅白鉄塔
この辺りは、川が流れ、元々水田だったところをあまり秩序立てて宅地化しなかったのか、方向感覚が狂う。しかも、送電線は川とも道路とも関係なく一直線だから、若干迷いつつ、住宅地を進む。地図での予習が役立った。
手前は別の路線の鉄塔
近付いてきた。当然だが、ひときわ高い
訪問時は、梅雨明け直後(上記、遠望は梅雨明け前なのでどんより)。夏の青空を背景に、夏の日差しを受け、紅白の鉄塔が鮮やか。
根本に到達柵で囲われ、その周りが駐車場になっているようで、思ったほど接近できないし、写真も撮りづらいが、ちょっと感動。
近くで見ると、脚がとても長く見えて、腕金がとても上からちょこんと出ていて、アンバランスな感じがする。無着色の送電鉄塔と比べてしまうためだが。
所在地は牛島南一丁目。普通河川・古川の近く。生活道路どうしが交わる十字路の角地の、ほぼ宅地1軒分のスペース。鉄塔の向きが、周りの家々の向きとほぼ(完全にではない)一致している。
なお、1つ隣の十字路付近には6メートルの「標高点」があるようだが、三角点や水準点と違って、現地に表示はなさそう。
古い地形図を見ると、一帯が水田だった1971年時点で、送電線は通っている。しかし、1975年撮影の航空写真では、紅白鉄塔は立っておらず、別の位置に無着色の鉄塔があった。
1985年にはだいぶ宅地化されているが、2006年でも、水田がわずかに残っていた。牛島南一丁目となったのは2001年10月で、それまでは「牛島字東潟敷」だった。
宅地化が進行していた頃に、高い鉄塔に建て替えられたことになる。鉄塔の向きに合わせて、道路や宅地が配置されたのか、それとも、道路や宅地との位置関係に配慮して、鉄塔の位置を決めたのか。あるいは互いに配慮なく、たまたまこうなったのか。
腕金のある面から見上げれば、東京タワーとか電波塔のようにも見える?送電線には「路線名」が付けられていて、この鉄塔が属するのは「秋田中央線」とのこと。
御所野変電所から、御野場、仁井田を経て、茨島変電所、さらに茨島の工業地帯、秋田運河を2度渡って、国道7号(臨海バイパス)を越えた川尻若葉町(ここの小さい変電所みたなので、送電線が終わる)までのルート。
紅白鉄塔には「36」の数字が表示されている。御所野側から連番が振られていて、36本目の鉄塔。
地理院地図に加筆。★が紅白鉄塔冒頭の紅白鉄塔を遠望した各地点との直線距離は、楢山の羽州街道(地形図マル1)から2キロ、牛島跨線橋(マル2)から1.1キロ、秋田大橋(マル3)から1.6キロ。
高層建築物は少ない場所ではあるが、楢山から絶妙な位置に見え、しかもそれが紅白だったのは、奇跡と言えるのではないか。
それにしても、どうしてこの鉄塔が紅白=高いのか。平坦で高層建築物もないし、並行する他路線は普通の鉄塔ばかりなのだから、送電線を低くすると何かの支障になるわけでもなさそう。不思議。【7月3日コメントいただき追記・羽越本線の上を安全に越えるため、高くした可能性があるようだ。近隣の他路線の送電線は高くないが、電圧などの規格が異なり、この秋田中央線だけ対応が必要なのかも。なお、羽越本線の電化は1972年だから、電化からしばらくして、高い鉄塔に建て替えた可能性あり。】
住宅地の紅白鉄塔子どもの頃、郊外へ車で出かけると、田んぼや山の中に送電鉄塔が並ぶのに見とれた。人が立っているようで、感情移入したのかもしれないし、それぞれの鉄塔の形の違いも興味深かったが、まれにある紅白の鉄塔が特に好きだった。そうめんに1本入っているピンク色の麺とか、白く小さい球状の「玉麩」に混ざっているピンク色の麩と同じような、レア感を覚えたのだろう。
住宅地に紅白鉄塔があるとは思わなかった。これが秋田市街地にいちばん近い紅白鉄塔ではないだろうか。