広く浅く[blog.goo.ne.jp/taic02より移転]

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アオバコ

春を感じさせるお菓子の先駆であり代表は「うぐいす餅」ではないだろうか。春まだ浅い(というかいちおうまだ冬?)秋田のお菓子屋さんでも売られ始めている。
言うまでもないけれど、「うぐいす餅」はその形状と色を鳥のウグイスに見立てた餅菓子。

餅の表面に、きな粉がまぶされることで、ウグイスらしくなる。(草餅にしてウグイスの色を示すこともあるそうだ)
一般的なきな粉は「黄な粉」というくらいで茶色~黄色っぽい。地域や店によっては、うぐいす餅にもそれを使うようだが、Googleで「うぐいす餅」で画像検索すると分かるように、全国的に鮮やかな黄緑色のうぐいす餅のほうがメジャーのようだ。
22日放送のアニメ「サザエさん」の「うぐいす鳴いたよ」に登場したうぐいす餅も、緑色だった。(蛍光色にも見えたけど…)
※ただし、実際の鳥のウグイスは地味な緑色。鮮やかな緑色の鳥はメジロだ。

その緑色のうぐいす餅がどうして緑色なのかと言えば、まぶされるきな粉の色が違うから。
どうしてきな粉の色が違うかと言えば、原料の大豆の色が違うから。
青大豆が原料のきな粉が緑色で、「青きな粉」とかズバリ「うぐいすきな粉」と呼ばれる。


全国的に見れば、青きな粉は特殊なもので、うぐいす餅が主な用途で、他にはあまり使わない地域や人も多いのかもしれない。
一方で、青きな粉が日常的に使われ、メジャーな地域がある。
少なくとも秋田はそれに該当する。
秋田のスーパーでは、茶色いきな粉と青いきな粉が、ほぼ半々の割合で売られている。正月の餅用としても、同じメーカー製の2色が並んで売られるが、青いほうが人気のような気がする。

他の地域ではどうだろうか?
いくつかのネットスーパーで扱っているきな粉をざっと見てみた。イオンやイトーヨーカドーのような、各地の店舗ごとに品揃えが違うところが参考になっておもしろい。
傾向としては、北海道・東北や新潟・長野では多くで茶色と青両方を扱っているが、太平洋側の関東以西ではほぼ青はなく茶色のみ
茶色いきな粉の安倍川餅の地元である、しずてつストアでは青も扱っているし、ネットスーパーで扱わないだけで実店舗には置いてある可能性もあるが、寒い地方で青きな粉が多く消費・流通されていると言えそうだ。

イオンのプライベートブランドトップバリュ」では、茶色と青の2種類が存在する。
topvalu.netより合成
トップバリュの茶色いきな粉は「直火式焙煎 きな粉」という商品名で100g98円。カナダ産大豆を兵庫県の工場で製造している。
青いほうは「青きな粉」という商品名で価格は同じ100g98円、中国産大豆。
栄養成分は茶/青の順にがエネルギー469kcal/436kcal、たんぱく質37.5g/40.9g、脂質26.6g/20.8gなど。青のほうが低カロリー高タンパク傾向?
トップバリュでは、パッケージのリニューアルと製造工場所在地の表記が進行しているが、青きな粉は今なお旧パッケージのまま。(秋田の店舗に並ぶ実物も旧パッケージ)

青きな粉のパッケージには「あ、わたしの声がはいってる。」欄に「地元でなじみのある青きな粉。」とある。
北海道限定で「ガラナ」があったように、全国一律販売ではなく、地域に応じて販売しているのだろう。
イオンネットスーパーでは、北日本~北陸(石川県まで。福井県にはイオンがない!)、長野県さらに鳥取県島根県の店舗では扱っていて、太平洋側の関東より西では扱っていない。



そんなわけで、秋田では一定の知名度を得ている青きな粉だが、茶色いきな粉も流通しているせいか、青きな粉を区別する方言的な呼び名がある。
あおばこ」である。
おそらく「あお」は「青」、「こ」は「粉」なのは分かるが、「ば」がどこから来たのか分からなかった。「葉」ではないし。
ネットで「あおばこ」を検索しても、分からない。

とあるメーカーの青きな粉のパッケージに「青ばた豆使用」との記述があった。これは!
調べてみると、「青ばた豆」は品種名なのか通称・俗称なのか知らないが「青大豆」の一部を指す言葉らしい。
山形県宮城県(、岩手県も?)を中心に栽培され、甘みが強いのが特徴で、「ずんだ」の原料になったり、正月の煮豆にしたりするという。普通の大豆よりも栽培は難しく、流通量は多くないそうだ。秋田でも多少の栽培はされているようだ。※青森でも食べられ、特に東側の南部地方では独特のお菓子になる。
「ばた」の漢字表記は一定しておらず、青端豆、青畑豆のほか青肌豆などが存在する。

「ばた」そのものの由来は不明だが、「青ばた豆のきな粉」→「青ばた豆の粉」→「青ばた粉」→「青ば粉」となったのではないだろうか。
【26日追記】秋田弁では、単語の末尾に「~っこ」を付けて呼ぶことが多いけれど、これはそれとは違う「こ」と考えればいいのだろうか。(「きな粉っこ」とは言わないはずだし)


さて、茶色と青、それぞれのきな粉の味の違い。
秋田では「青いほうがおいしい」という声を聞く。茶色のほうは香ばしそうな気がする。
たしかに青ばた豆は甘いそうだけど、中国産の青大豆ではどうなのかは知らない。製造者の製法による違いもあるだろう。卵の殻が白いか赤いか程度のような気もしなくはない。
僕は秋田人として、きな粉は「あおばこ」を選びます。


秋田市内のお菓子屋さんのものだという、うぐいす餅をもらった。
茶色いきな粉!
秋田では珍しい、というか初めて見た。かなり茶色い。
初めて見たのでカルチャーショック。これじゃあ、ウグイスには見えず、わらび餅なんかと見間違えかねない。
味は、おいしかったです。
【28日追記】改めてたけや製パンのうぐいす餅の画像を見てみると、茶色っぽい。秋田でも茶色いきな粉のうぐいす餅は存在するようだ。この↑店のきな粉が、特別に茶色いということのようです。青森の工藤パンのは緑色らしい。【29日追記】たけやのうぐいす餅の実物は、緑色のきな粉だった。ホームページ写真撮影用だけ茶色だったのか?※たけやのうぐいす餅についてはこちら

なお、全国的には、中がつぶあんだったりうぐいすあんだったりするうぐいす餅もあるそうだけど、秋田のうぐいす餅は、どこもこしあんではないだろうか。


うぐいす餅に続く季節の和菓子は「桜餅」。
全国的に、小麦粉のクレープ状の皮の「長命寺」タイプとおはぎ状の「道明寺」タイプに2分される。
秋田では長命寺が主流だが、日本海側では珍しいらしい。そう言われれば米どころなのに不思議。
秋田でも道明寺も皆無ではないが、一般に「桜餅」と言えば長命寺を指し、道明寺はあえて「道明寺」と区別して呼ぶ。「長命寺」の呼称は知らない人が多いだろう。
津軽弘前辺りでは道明寺が主流らしいが、知らなかった。
【28日追記】ホームページによれば、たけや製パンでは長命寺のみを「桜餅」として掲載。工藤パンでは「桜餅」として長命寺、別に「道明寺」もラインナップ。うぐいす餅と道明寺のセットもあるが、うぐいす餅と長命寺のセットは出ていない。【さらに追記】店頭にはたけやの道明寺もあった。白とピンクのセットもあり。
【2017年2月26日追記】青森県弘前市のラグノオささきの秋田市内の店では、「さくら餅」の名称で道明寺を発売している。長命寺はないようだ。