11月8・9日に、NHK秋田放送局の視聴者感謝イベント「エキヨコまつり2014」が、秋田放送会館と隣のアルヴェで行われた。
※以下の掲載写真はいずれも、イベント終了後の時間に、立ち入り可能な通路部分から撮影しています。
アルヴェ「きらめき広場」秋田駅側から会場に入った人が最初に目にする会場角では、「トップハム・ハット卿」がお出迎え。その足元には線路が敷かれていて、別に後方の会場中央には大きな「きかんしゃトーマス」もいる。
これを見て、2点、違和感を覚えた。
1つは「NHKにトーマス?」、もう1つは「トーマスの後ろが…」。
まずは、「きかんしゃトーマス」の概要。
今や多くの日本人(世代で違うでしょうけど)がその名前を聞いて姿をイメージできるほど浸透している「きかんしゃトーマス」。
イギリスの架空の島「ソドー島」を舞台に、人格を持った蒸気機関車(+α)たちが繰り広げるお話。
作者はイギリスの牧師 ウィルバート・オードリー。はしかで寝込んだ息子のために創作した話を元に、1945年に「汽車のえほん」を出版(日本では1973年に出版)したのが最初。
「ソドー島」の由来とか、島内の地形などの細かな設定がおもしろい。
絵本を原作にしたテレビ映像作品が、1984年にイギリスで放映開始。それがアメリカ経由で日本に輸入・吹き替えされて、フジテレビ系「ひらけ!ポンキッキ」→「ポンキッキーズ」のコーナーとして1990年に放送が始まった。
トーマスの声は、当時は声優業がメインだった戸田恵子、ナレーションは森本レオ。
僕は放送開始時は既に中学生だったので、子どもとして見てはいない。(同時期に放送が始まったアンパンマンも同様)
だけど、鉄道モノだし、ポンキッキは見る機会があった(一時期は夕方に放送されたし、弘前に行ってからは帰省時に懐かしさから)ので、主要な登場人物(登場車両)や初期のストーリーはおおむね把握しているつもり。
機関車が人格を持ち、蒸気機関車の正面の釜のフタが顔になった児童向け絵本作品としては、NHKの影絵劇にもなった「きかんしゃやえもん」(阿川弘之作)、「きょうだいきかんしゃたろうとじろう」(鶴見正夫作)を知っていた。トーマスは外国のお話であっても、共通する点が多く親しみを覚え、キャラクターやストーリーが豊富で楽しい。
その後、ポンキッキーズはBSに追いやられて見る機会はなくなった。たまにCS(ケーブルテレビ)のチャンネルか何かにトーマスの番組があるのは知っていた程度。
近年、たまたま、久々にトーマスをじっくり見る機会があった。制作会社や制作方針が変わり、音楽も変わったそうだけど、もっと基本的な3つの点で驚いた。
1.CG化
当初のトーマスシリーズは、人形劇というか模型を動かしたものをカメラで撮影していた。機関車たちの表情は、お面状のものを付け替えていたのだろう。
それが、現在はコンピュータグラフィックスによるアニメーションになっていた。
2000年台後半から部分的(機関車の表情など)にCGが取り入れられ、2010年放送(英・日とも)の第13シリーズからは、フルCG化、すなわちアニメーション化されていた。
キャラクターのデザインは以前とほとんど同じだし、表情や水・煙などの表現はリアルになったが、昔のトーマスを知る者としては、少々寂しさを感じる。
2.声優交代
さらに日本語吹き替えの声優陣が一新されていた。
戸田恵子、森本レオなどは第8シリーズ(日本で2006年)が最後。
今はトーマスが比嘉久美子、ナレーションはジョン・カビラ。協力するプロダクションが替わったため、他のキャストも交代。
※数少ない、人間の登場人物「トップハム・ハット卿」の声について
鉄道の「局長」という肩書だそうだが、トーマスたちを見守り、とりまとめる人物。(事故をろくに調査もせずに機関車のせいにしてしまうような面もあるけど)
その日本語版声優は歴代4人。
初代は一休さんで外観和尚なども担当した宮内幸平。宮内さんは1995年に亡くなったため、ブタゴリラの父ちゃん・2代目友蔵じいさんの青野武に引き継がれた。青野さんは2012年に亡くなったが、それ以前に声優陣が一新されたので降板。
3代目は、クレヨンしんちゃんの幼稚園の高倉文太園長(=由来だと考えられる高倉健も菅原文太も奇しくも同じ月に亡くなった)などを担当し、11月17日に亡くなった納谷六朗。後任の4代目は金光宣明という、だいぶ若い人みたいだ。
3.放送局の変遷(CSを除く)
フジテレビでの放送は、2006~2007年の第8シリーズで終わっていた。声優の交代時期と重なる。
その後、テレビ東京系「のりスタ!」で放送されるも、2011年の第13シリーズで終了。(テレ東時代は、鉄道用語の誤訳が散見されたとか。逆にフジや後述のNHKは子ども向けであっても手を抜いていないとも言える)
さらにその後、2012年から放送しているのが、NHK。Eテレ(教育テレビ)で週に1回(現在は日曜朝)放送。
【2日追記】ということは、青森県津軽地方などで地上波しか受信できない世帯では、2012年までトーマスを見たことがない人が少なくなかったのだろう。
「刑事コロンボ」がNHKと日テレで放送された例もあるし、契約とかいろいろ事情はあるのだろうが、子どもたちが全国どこでも見られるという意味では、NHKで放送するのもいいのかもしれない。
以上、長い前置きでした。
1つ目の違和感「NHKにトーマス?」は、トーマス→ポンキッキ→フジテレビと印象づけられてしまっていたので、NHKのイベントにいたのが意外に思えたのだった。
上記の通り、今はNHKで放送しているので、NHKのイベントにトーマスが現れても、間違っていはいないのだった。
ただ、NHKオリジナルではない海外の輸入物であり、日本での普及には民放局も絡んでいるキャラクターを、NHKの催しの中央にでーんと据えることには、他人のふんどしで相撲を取るような気がしなくもない。
NHKだってオリジナルのキャラクターはたくさん制作している。昔のこの手のイベントなら「おかあさんといっしょ」の着ぐるみ劇のキャラクター(現在は「ポコポッテイト」)が主役だったことだろう。
今回も、「ポコポッテイト」の記念撮影用ぬいぐるみは置かれていたし、「いないいないばあっ!」のワンワンのショーはあるにはあったけど。それらを差し置いて、トーマスが君臨しているように感じられた。
ハット卿の足元に敷かれた一周する線路には、トーマスと客車が置かれていた。これは「レッツゴートーマス」という、人がまたがるようにして乗車するアトラクション。
鉄道用語で「夜間滞泊」中といったところ?!「ミニSL」と同じ趣旨ではあるが、一般的なミニSLはレール幅が5インチ(127ミリ)のものが主流で、運転者が同乗する。こちらはレール幅が広く、運転者は乗らずに出発点でスイッチを操作して動かすようだ。
同名の商品がバンダイナムコゲームスから発売されている。それだとすれば、レール幅25センチで、交流電源、モーターは出力24ボルト×2、時速約1.8キロ。
アミューズメント施設などで常設する所もあるが、このようなイベント向けにレンタルする業者もあるのだろう。
数年前、秋田駅西口側の大屋根下で、同じようなイベントをやっていた。
「二〇世紀ひみつ基地」の2012年9月24日付「きかんしゃトーマスがやって来た・アゴラ広場(http://20century.blog2.fc2.com/blog-entry-923.html)」に写真が出ている。
実は、それは「レッツゴートーマス」とは別物だった。
「きかんしゃトーマスとなかまたち わくわくトレインツアー」というもので、レールがない電動カートタイプ。運転者がトーマスに乗って操縦する。全体に大型で、後方の客車部分は屋根があって、「またがる」のではなくちゃんと「乗る」ことができるようだ。
2つ目の違和感「トーマスの後ろが…」は、「レッツゴートーマス」でも「わくわくトレインツアー」でも両方で感じた。
秋田での“運行”は、どちらもトーマスの後ろに「客車」が3両つながっている。レッツゴートーマスでは客車1両から販売するようだが、実際の運行時は他の開催地でも3両が多いようだ。
これがおかしいというか、ツッコミどころ。
お話の中でトーマスは、専属の路線(支線)で旅客列車を牽くことが多く、その時は専属の客車2両が充当される。
トーマスの作中では、機関車以外の乗り物たちは、人格や名前があったりなかったりまちまちだが、この客車には顔と名前があり、たまにしゃべる。(表情は2パターンくらいしかない?)
名前は「アニー」と「クララベル」。
トーマスが客を乗せて走行する時は、2両編成(自身を入れて3両)なのだ。
ところが、アトラクションでは客車が3両。1両多いじゃないか!
ところで、アニーとクララベルは、テレビ版で見る限り外観はよく似ているが、役割が異なり、基本的には見分けられるそうだ。
アニーは客室のみ。
クララベルは客室のほか、荷物室と手ブレーキ室(車掌室)を備えている。
日本の国鉄式の車両形式の命名法則にのっとれば、アニーが「*ハxx」形、クララベルは「*ハニフxx」形となる。(*は重量に応じたカタカナ1文字、xが形式を示す数字)【2015年4月23日追記】国鉄の命名法では、荷物車などはブレーキが付いていても「フ」の記号は付けない原則だそうで、「ニフ」という記号は基本的には存在しなかったそうだ。
車両端部の窓がない部分がブレーキ室なので、それがあるのがクララベル。
もっと単純明快な見分け方もある。車両側面中央の窓下に、白文字の筆記体で「Annie」「Clarabel」と名前が書いてあるのだそう。
機関車たちは数字しか書いていないのに、これは分かりやすい。
では、レッツゴートーマスの3両は?
皆さん眠いのか、お疲れなのかちゃんと表示があって、先頭車は「Annie」。
2両目、3両目は、
やっぱり「Annie」なんと、3両ともアニー。クララベルがいない!
「わくわくトレインツアー」のほうは、名前の表記がないようだ。
「レッツゴートーマス」では客車の名前を表記したところまでは忠実だけど、詰めが甘い。
多くのお客をさばくことと、コースの長さや機関車のパワーからして3両が最適なんだろうけど。
トーマスが好きな子どもなら、アニーとクララベルがコンビなのは常識だろう。英語が読めなくても「Annie」「Clarabel」の文字列の形で区別する子もいるとか。
会場に来て、「いつもより1両多いよ! 名前はなあに?」と疑問を感じる子がいたかもしれないし、「ボクはクララベルが好き。アニーには乗りたくない!」というガンコな子もいるかもしれない。
子どもにそんなことを言われたら、大人はなんて答えればいいんだろう。
作中とイベントは別物だと冷めた目で見る子のほうが多いのかな?(トーマスが煙を吹かないとか、こんなに小さくないとか、しゃべらないとか、いろいろ違いはあるものね…)
【2日追記】反対側側面の表記は確認しなかった。ひょっとしたらそちら側は全部「Clarabel」になっている、ということもなくはないかもしれないけれど、それだと左右で名前が違うというヘンな話になる。
理屈っぽいけれど、「アニー」というのは「車両個別(1台1台)に付けられた名前」ではなく、車両の「形式」を示すものだった、と考えれば、アニーが3両いても話は通る。つまり、「オハ50形」とか「オハネフ25形」のような「アニー形」という形式名ならば。
けど、そんな設定は聞いたことがない。
ついでに言わせてもらえば、客車の後尾に顔がないのも寂しい。
テレビでは、トーマスの最後尾で、さえない顔をした客車が続くシーンをよく見た気がするのに。
あと、これは技術的に仕方ないのだろうが、台車(車輪)もテレビ版とは違う。
レッツゴートーマスでは、1両につき、2つの車輪が1組になった台車が2組付いている(側面から見ると1両に4つの車輪)。現在の鉄道車両で一般的な「ボギー台車」。
しかし、テレビ版のアニーとクララベルは、横から見ると車輪は2つ。1箇所につき1つの車輪が前後に1つずつの「単台車」という、今はほとんど使われないタイプ。
原作の挿絵ではボギー車として描かれたこともあったとのこと。