まずは最新のニュースから。
こんなことを朝日新聞や共同通信(47news)が報道するのもどうかとは思うけれど、広島大学医学部のある科目の試験において、2年生126人のうち6人だけが合格。不合格の120名は、20日後に実施された追試験を受けるも全員が不合格だったという。
昨年度までこの科目では、最初の試験(本試験)で不合格であっても、追試験で本試験と同じ問題が出題されていて、追試に向けて勉強すれば誰でも合格できたという。今年度は、本試験と追試験で別の問題が出されて、このような事態になったということらしい。
医学部といっても、医師養成の医学科と看護師や各種療法士養成の保健学科があり、どちらなのかは分からないが、いずれにしても最終的には国家試験に合格し、人の命を直接扱う業務に直結する科目のようだから、これでは先が思いやられる。
だけど、(医学部は違うのかもしれないが、)一般に大学の試験(※入試は別)なんて、担当教員次第で異様に易しかったり、異様に難しいとかするもの。採点基準は不透明だし、答案が返却されることはほとんどない。
だから、全員に「可」しか出さない先生とか、科目の担当教員が交代したら試験が極端に難しくなったとかいう話は、どこの大学にもある話ではないだろうか。
いずれにしても、大学内での話であり、ニュースにするような話ではない。
おまけに共同通信では「担当官」という肩書きの人物が登場するけれど何者? 「担当教官」のつもりだろうか。(朝日では「担当教員」としていて、それが正当のはず)
国立大学だった当時は教授など“先生”の総称として「教官」を用いていたが、国立大学法人化後は「教員」に呼称を変えた大学が多いようだ。「官」ではなくなったという理由で。
これでは新聞記事として「不合格」ですぞ。
広島大学は「ひろだい」と略されるようだけど、もう1つの「ひろだい」、弘前大学では、テストに関してこんな話があったのを思い出した。1990年代の話。
ある科目の試験では、答案に「(おいしい)カレーライスの作り方」を書けば、「優」をもらえる。
バリエーションがあって、「問題として『カレーライスの作り方』が出題された」、「問題は別で、答えに窮して出題と無関係のカレーの作り方を“回答”したら、単位がもらえた」、「カレーの作り方を書いたのに単位がもらえず、先生に聞きに行ったら『君の答えには材料にタマネギ(ジャガイモだったか?)が入っていない。これではおいしいカレーにはならないから、不可』と説明された」「同様に尋ねに行ったら、『講義中に私が話したカレーの作り方を書かなければダメ』と言われた」なんていうのがあったはず。
このお話の“舞台”となる科目・教官(当時の呼称)は、一般教養科目・生物学のT教授という方だそう。この点については、別の科目や先生の話は聞かなかった。
家政学分野の試験だったら、ほんとうにこんな問題が出るのかもしれないが、教養の生物で出題されるとは信じがたい。僕はこの先生の科目を履修しなかった【2019年5月28日追記・履修しようとしたけれど、定員超過で抽選か何かになって、履修できなかったような気もしてきた。いずれにしてもこの先生のお姿を見たこともないのは確実】し、試験問題を見る機会もなかったので真偽は不明だが、都市伝説(学内伝説?)だったのだろう。
ちなみに、弘前大学では1994年度までは「一般教養課程」を「教養部」で行い、教養部に専任の教官が在籍していた。1995年度入学者からは「共通教育課程」に改められ、全学から教官が参加(=専門教科と共通教育を掛け持ちする)して授業を行うことになった。1997年9月には教養部が廃止され、教養部に所属していた教官は各学部に振り分けられる形になった。(弘大には人文学部があるため、教養部に多い語学系分野の教員の受け皿があった)
T教授は農学生命科学部に移られ、10年ほど前に停年退官(いわゆる定年退職)されている。
また、現在は「共通教育」は「21世紀教育」という体制に変わっている。
ネットで調べてみると、このカレーの作り方と試験の話は、複数の大学で同じ形で語り継がれており、少なくとも1970年代には既に存在していたようだ。
獣医学部を舞台にした佐々木倫子の漫画「動物のお医者さん(1987~1993年雑誌連載)」にも、同じ話が出てくるそうだ。(ちなみに作品の舞台のモデルは北大、作者は1980年代に北海道教育大学卒)
典型的な都市伝説だ。
弘大では、どうしてT教授がその都市伝説の“ターゲット”となってしまったのだろう。まさかほんとうにそういうことがあったのか、あるいは講義中の雑談で話したのか…
T教授がいなくなった今の弘大、あるいは秋田とか他の大学では、カレーと試験の話は、どのように語り継がれているものだろうか。
話が変わって。さらに少し時をさかのぼります。
高校生の時、教室でこんな出来事があったのを、なぜか覚えている。
ある日、教室のいちばん前の席に座っていた女の子が、なぜかリンゴを丸ごと1個持参し、なぜか朝から布かティッシュペーパーで熱心に磨いていた。
※リンゴをそのまま持参したことについては、当時は「リンゴダイエット」というのが流行っていたはずで、その影響を受けていたのかもしれない。
【2023年4月8日追記・りんごダイエットについて】↑上記は1993年度のできごとのはず。1992年度後半のNHK連続テレビ小説「ひらり」第75回で、リンゴダイエットが出てきた。デートを前にした主人公の姉が、何を話題にすればいいか、会社の同僚に相談するシーン。同僚が、自分が始めたリンゴダイエットを話題にしてはどうかと、会社の冷蔵庫に入れておいたリンゴを食べながら勧めるのだが、「リンゴをね 3日間だけ食べるなんていうダイエット」と説明もあり。「リンゴだけ」食べるのは知っていたが「3日間」だったのか。
リンゴの表面にはロウ物質があり、磨いてこすることによって、ツルツルテカテカになる。
その日の英語の授業が始まる前か終わった直後だったか、彼女は教壇の先生(女性)に向かって「ほら。磨いたらこんなになったの」とそのリンゴを見せた。
先生は「あら、ずいぶんきれいに磨いたわね」と返した。
そんな他愛もない日常のひとコマが、なぜか記憶に残っていた。
食べようと思って持ってきたリンゴをこすってみたらピカピカになってうれしくなり、それを英語の先生に見せたくなってしまったにすぎないと思っていたのだが…
最近、「apple-polish」という英語の言い回し(アメリカ中心らしい)があるのを知った。直訳すれば「リンゴ磨き」。
これは「(特におべっかを使って)(人の)歓心を買う, ごきげんをとる, ごまをする.(プログレッシブ英和中辞典)」という意味。つまり「ゴマをする」に相当する。
そういうことをする人、「おべっか者」のことは「apple-polisher」。
語源は「米国の児童が先生にリンゴをぴかぴかになるまでふいてからあげる風習があったことから(同)」。
これを知ってはっとした。
高校時代の彼女の行動には、別の意味があったように思えてしまう。「今学期の成績、ひとつよろしく」と。
相手は英語の先生なんだから、意味は知っているだろうし。
でも、彼女はかなり成績優秀で明るい生徒だったと記憶している。そんな手回しなど必要なかったはず。
今となっては真相が分からない思い出です。
【2018年12月5日追記】さほど関係ないけど、青森県りんご試験場から毎年皇室へリンゴが献上され、その箱詰め風景がNHKで報道されることがある。職員が布やブラシでこれでもかというほどピカピカに磨いて、薄い紙と保護ネットで包んで箱詰めしている。