地名(住所)としての「新屋」は雄物川(雄物川放水路)の両側(北と南)に存在するが、一般的に「新屋」といえば(公的にも市民の感覚としても)雄物川の南側の地域だけを指すことが多い。
ここでは、新屋の一部であるのにあまり「新屋」とは呼ばれない、雄物川北側の地域の呼び方に注目してみる。
結論から言えば、秋田市役所では「勝平(かつひら)地区」と呼んでいる。
勝平地区は、日本海・秋田運河(旧雄物川)・雄物川放水路で囲まれた、島状の土地の南半分を占めている。
秋田県運転免許センターや市立秋田商業高校などがあり、かつては旧・秋田空港があり、現在は風力発電の風車が並んでいる。宅地化が進んだとはいえ、砂浜や松林も多い。
島の中央に「勝平山」があり、そこから北側は新屋ではなく「向浜(むかいはま)」地区と呼ばれるが、スポーツ施設や工業地帯があり、住んでいる人はいないはず。
Googleマップより上記の通り秋田市では勝平地区と呼ぶこの地域だが、秋田市民もまた、日常的な会話などでここを「勝平」と呼ぶことも多い。
その一方で「割山(わりやま)」と呼ぶことも多い。
個人的な感覚では「割山」と呼ぶことのほうが若干多いような気もするし、(秋田市で言う)勝平地区の中でも「勝平」と「割山」では微妙に場所が異なるような気もする。
「勝平」と「割山」の違いって何だろう? 明確な使い分け方があるのだろうか?
ここで、ちょっとややこしいのだけど、地域の総称としての勝平・割山とは別に、現在は町名として「勝平」や「割山」を名乗るものが存在する。
新屋勝平町、新屋勝平台、新屋割山町の3つ。
勝平台は1989(平成元)年、他の2つは1964(昭和39)年に、住居表示実施によって誕生した。
川尻割山線のバス停の「割山町」(船場町経由のみ)や「勝平」(と怪しい「勝平二丁目」)は、新屋割山町と新屋勝平町のことを指していると考えられる。
住居表示実施前にさかのぼれば、大字の「新屋町」に「割山」という小字があり、1964年と1989年の住居表示実施で縮小・消滅している。現在の新屋割山町のみならず、新屋勝平町や新屋南浜町なども含んでおり、広範囲だったようだ。
「勝平」を名乗る旧所在地名はなかったらしい。
「割山」は、山を割って(切り開いて)開拓してできた土地であることにちなむという話を聞いたことがある。
「勝平」は「勝平山」が由来のようだ。ただし、現在の勝平町や勝平台は、勝平地区の中では勝平山からいちばん遠い辺りに位置する。
地域の総称の話に戻ります。
勝平地区に所在する施設や店舗には、勝平または割山の名を付けたものが多い。「勝平派」と「割山派」に分けてみた。
・勝平派
勝平寺、勝平神社、勝平日吉神社
勝平通り(県道だが命名は秋田市)、勝平新橋(秋田市道)
雇用促進住宅「サン・コーポラス勝平」
秋田県警秋田中央警察署勝平交番
市立勝平小学校、市立勝平中学校、秋田市勝平児童館、勝平屋内ゲートボール場、勝平地区コミュニティセンター、秋田市消防本部秋田消防署勝平出張所
私立勝平幼稚園、私立勝平保育園
スーパードラッグアサヒエクスプレス秋田勝平店、佐野薬局勝平店、勝平タクシー
・割山派
路線バス「川尻・割山線」(秋田市交通局が命名し、秋田中央交通へ移管)
ローソン秋田割山店、ナイス割山店、割山自動車学校
秋田割山郵便局、秋田銀行割山支店、秋田信用金庫割山支店
・両方
サンクス秋田割山店・サンクス秋田勝平店
【2017年6月6日追記】その後、サークルKサンクスのファミリーマートとの統合にともない、2017年6月22日に割山店が「ファミリーマート割山店」としてリニューアルオープン。勝平店はサンクスのまま。【2020年11月29日追記】勝平店は2018年7月5日に「ファミリーマート勝平店」に。
北都銀行割山支店・北都銀行勝平出張所(ATMコーナー。昔は勝平支店だったのかな?)
【2021年4月1日追記】北都銀行割山支店は、2021年2月22日に、山王支店内へ移転する“支店内支店”化され、この地区に実態としての店はなくなった。
地図に示すとこんな感じ。赤丸が勝平、緑丸が割山勝平が多数派だ。
寺社や公共施設はすべて勝平で、割山を使っているのは民間ばかり。(強いて言えば、旧市営バスの割山線と旧郵政省の割山郵便局が例外)
これは、勝平山が信仰の対象であったり、上記の通り市の正式な呼称が勝平であるという理由もあるのだろう。
分布を見ると、「勝平」は新屋勝平町・新屋勝平台以外にもほぼまんべんなく分布するのに対し、「割山」は東寄り=新屋割山町周辺に偏っているものの、新屋勝平町周辺にも「割山」を名乗るものがいくつか固まっている。
“勝平”保育園と“割山”郵便局が向かい合う同じ組織で勝平、割山両方を名乗るのは、サンクスと北都銀行。
どちらも、勝平が北側、割山が南側にあることが共通している。
最初のほうで、感覚としては「勝平」と「割山」を指す場所が違うと書いた。
個人的には、「勝平」のほうが広範囲の感じがする。そして、勝平ではなく「割山」と呼びたくなるのが、旧秋田空港跡地や運転免許センターの辺り。勝平地区の南端、雄物川放水路に面した新屋勝平町~新屋寿町~新屋南浜町付近。
「割山の免許センター」とは言うが、「勝平の免許センター」とはあまり言わないと思う。
サンクスと北都銀行の名前もそうだが、勝平地区の南寄りのことを「割山」と呼ぶのだろうか?
でも、「新屋勝平町」「勝平通り」も南側にあるし…
それに公的には、エリアの名称として「割山」を使うことはないわけで、あくまでも通称・俗称だろう。
あいまいで結論が出せません。皆様はどのようにお考えでしょうか。
さて、勝平地区の対岸・雄物川南岸の(狭義の)新屋の県道に、こんな案内標識が設置されている。
※かつては国道だったので、もしかしたら建設省(当時)が設置したのかもしれない
右折側に注目「割山運転免許センター」とある。
これは「割山 および 運転免許センター」という意味ではないらしい。
英語で「Wariyama Driving Licence Center」とあるように、「割山運転免許センター」という組織が存在していることになっている。(正式名称は「秋田県運転免許センター」)
秋田県内で唯一の運転免許センターだから、単に「運転免許センター」と表示すればよかったのに。
好意的に解釈すれば、設置者が気を利かせて「割山へ行くにはこっちですよ」ということも伝えたくて、どこかで行き違いがあって「割山運転免許センター」になってしまったのかもしれない。
その場合にしても、上記の通り「割山」というエリア名は俗称に過ぎないから、「勝平」とするのが正当だろう。
標識設置の担当者も、「運転免許センター=勝平よりも割山」というイメージがあったのだろうか。
※勝平地区の選挙の投票所についてはこちら。
【2017年7月30日追記】2017年8月4日には、