ホームページにおいては最近はGoogleマップなどの地図サービスサイトの地図を埋め込むこともあるけれど、基本的には各施設などそれぞれが作成していると思われる。
各施設が「どの程度の範囲からの集客を見込んでいて」「お客はどういう交通手段で来るのか」によって縮尺や目標物の取捨選択は変わってしまう。正確さより分かりやすさの方が求められ、作成者のセンスが問われると言えよう。
最近目にした、2つの略地図を、勝手ながら添削させていただく。
まずは、

こういう店の地図は、大雑把な直線を組み合わせた地図のことが多いけれど、ここは右におおまかな地図、左に周辺1キロ四方ほどの拡大図を掲載していて、一見親切。
でも、不必要なものが記載される一方、必要な目標物がなくて、分かりづらい。
もし、僕が作成するのなら、次のように目標物などを削除または追記します。

まずは右側の拡大図。
国道や秋田駅、県庁・市役所といった、店がある秋田市中心部へ誘導する上での主要なものはおおむね揃っているが、大事なものが足りないと思う。
それは、店の前を通る道路名「新国道」、そして右左折ポイントであり秋田での知名度が高い「臨海十字路」「山王十字路」「茨島交差点」は表示するべき。
新国道沿いの「秋田中央郵便局」を表示してもいいかもしれない。
いらないものが多い。
まず、ドン・キホーテの東側(右側)に道路が突き当たっているように見えるが、間にお寺(の跡)があるので、遠回りしないと店には来られない。だから不要。(道路新設工事が終われば、店の南側に抜ける道ができる)
山王十字路の角に「山王中(市立山王中学校)」があるように見えるが、実際には(拡大図で分かるが)1本奥まったところにあり、目標物とはなり得ないから不要。
また、駅東口隣接の「アルヴェ」、ぽつんと表示された「中通総合病院」があるが、これらは特に必要ないだろう。強いて示すなら「千秋公園」あたりの方がよさそう。
あと、せっかく川や橋を表示するなら、「旭川」と「二丁目橋(交差点名でもある)」くらいは表示してやってね。「新旭橋」は特に目立つわけでもないし、この橋の名前が分かったところで何ともならないから不要。
左側の拡大図。
まず大前提として、ミョーに細かい道まで出ていて分かりづらい。
車はもちろん、歩いて来るにしたって、こんなに詳細な道はいらない。一方通行路があるので、それを示すと意味が出てくるかもしれないけれど。
やはり主要な通りの名前と「山王十字路」は表示するべき。
なぜか「山王中」がまた登場。あってもいいかもしれないが、だったら隣の「旭北小」も表示したら。
店の東側は、多くの寺院が集まる旭北寺町。あまたあるお寺の中から、特に著名な寺院でもない「法華寺」だけを記載。
このお寺は地図では竿燈大通りに面しているように見えるが、実際には曲がった小路側に面しており、大通りからは認識できない。だから不要。
「秋田県福祉会館」「秋田銀行本店」「秋田県商工会館」「東北電力秋田支店」「市立秋田総合病院」などは目標物としてあってもいいかもしれない。
【2012年3月21日追記】以下は、現在は別の地図に替わっています。
次は、国土交通省東北地方整備局の「秋田河川国道事務所」の略地図。事務所自体は秋田市役所の裏にあるが、他に秋田市内に2つの拠点を構える。
ドン・キホーテから新国道を南下して、秋田大橋そばの堤防にあるのが、雄物川下流域の河川管理を行う「茨島出張所」。
お役所だし、土地を測量して地形図を作成する「国土地理院」と同じ国土交通省の機関の1つなんだから、さぞかし分かりやすい地図に違いない?

模式的な直線主体の地図だが、この地図、はっきり言ってヒドイ。これはド素人の作った地図だ!

決定的におかしいのが、JR羽越本線が存在しないことと、雄物川に存在し得ない橋が架かっていること!
国道13号線を通って大曲方向(図右下)から来る場合、実際には線路を2つ(奥羽線と羽越線)越えないとならないが、図では羽越線がないので奥羽線(目名田跨線橋)を越えるだけでよさそうに見えてしまう。
そして、秋田駅方面の中央通りや竿燈大通りから、まっすぐに下に雄物川まで至る道があることになっているが、こんな道あったっけ?
右側のやや太い道は、昨年愛宕下橋付近が開通した道路のことかもしれないが、それこそ羽越本線の跨線橋手前までしか開通しておらず、それより先は細くてクネクネした道。その道を道なりに進むと秋田大橋に出るので、雄物川まで一直線なのはおかしい。
左側の細い道は、イオン秋田中央店の裏側を通り、13号線を横切って卸町・茨島を経て、なんと雄物川を越えて、美短の裏までつながっている。秋田大橋の上流側の橋といえば秋田南大橋だが、位置や道路のつながりを考慮すればこれを秋田南大橋とするのはおかしいので、完全に「架空の橋」だ。というか竿燈大通りと卸町付近以外はすべて実在しない道だ。
どういうつもりでこんな地図を作ったんだ?
通りの名や交差点名はおおむね表示されている。
でも、「臨海十字路」「竿燈大通り」も表示してほしい。臨海十字路なんて、国道だから自分の管轄下でしょ。
目標物は、出張所の近くに「イオンタウン」とあるが、これはマックスバリュ茨島店などがある「イオンタウン茨島」のこと。
そう遠くない場所に、大きくて目立つ「イオン秋田中央店(旧秋田サティ)」があり、それと混同されるおそれがある(こういうトラブルも予想され、サティのイオン化には反対だったのだが)。だからサティの方も表示してあげましょう。
茨島交差点の所には「セガワールド秋田」。
たしかにセガワールドは交差点のそばではあるが角地ではないはずで、目立たない。そもそも、それほど大きな施設ではないし、広く知られているわけでもあるまい。
だったら、「茨島交番」「ステーキ宮」「gu」「しまむら」「ニトリ」「トイザらス」「ラウンドワン」等々たくさんある中、なんでセガワールドだけを選んだんだ?
ほんとによく分からない地図。
この地図は上の方が途切れているように見える。もっと広域の地図があり、それからトリミングしたのだろうか。
秋田河川国道事務所のホームページを見ると、その原版と思われる地図がアップされていた。市内の3施設が1枚の地図に収まっている。

なんと、「秋田中央警察署」が未だに「秋田警察署」なのもなんだかな~だが、なんと左上に「運輸局陸運支局」がある!
同じ国土交通省の出先機関(東北運輸局の下ではあるが)であり、国道維持出張所のご近所さんの「秋田運輸支局」なのに、旧称の「陸運支局」のまま!!
以前の記事で、新聞の地図が同様の間違いを犯しているのを取り上げたが、国土交通省内で同じ間違いをしているようじゃあ、いけません。
じゃあ、その秋田運輸支局の方の地図はどうかと、そちらの公式サイトを見てみる。

これはなかなか正確かつ分かりやすいと思う。
サイトにはほかに周辺の拡大地図もあり、それも必要十分な情報がまとめられており、分かりやすい。県道なのに「新国道」であることもちゃんと表示されている。
こちらはさすが国土交通省の出先機関! と言いたくなる。
秋田河川国道事務所さん、運輸支局から地図データを譲ってもらったらいかがですか?
【2012年3月21日追記】いつの間にか、秋田河川国道事務所ホームページ内の地図が、新しくなっていた。
上記のようなおかしなものではなく、改善されたことになる。
※企業などが客に対して示すエリア区分や地図について、関連した記事。